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『セザール・ビロトー』 バルザック(藤原書店)

セザール・ビロトー―ある香水商の隆盛と凋落 (バルザック「人間喜劇」セレクション)セザール・ビロトー―ある香水商の隆盛と凋落 (バルザック「人間喜劇」セレクション)
(1999/07)
バルザック、Balzac 他

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書名:セザール・ビロトー
著者:オノレ・ド・バルザック
訳者:大矢 タカヤス
出版社:藤原書店
ページ数:449

おすすめ度:★★★★




「ある香水商の隆盛と凋落」との副題が付されている『セザール・ビロトー』。
バルザックのまさに十八番である、投機と破産の物語である。
あまり知られた作品ではないように思うが、バルザックファンにはもちろん、バルザックの初心者にもお勧めできる作品だ。

「パリ生活情景」に分類されている『セザール・ビロトー』は、パリのとある香水商が主人公だ。
叩き上げで香水商の主人とまでなったセザール・ビロトーは、いまや界隈でも特に信頼されている一廉の人物で、実直さで知られる名士である。
そんな彼にも、自身の成功に伴いちょっとした欲が出てきて、妻の反対にも聞く耳を持たず、身の程以上の出費や投資をはじめて・・・。
代訴人や銀行家など、人間喜劇でおなじみの人物も垣間見られるその後の展開は見もので、バルザックならではの巧みな筋運びで終幕へと突き進む。

『セザール・ビロトー』の気持ちのいいところは、セザールをはじめ、誠実な人間が複数登場している点だ。
正直者のセザールを正直者が取り囲み、彼らが団結して訪れた不幸に誠意を持って対処していくさまは、あたかもユゴーに代表されるロマン主義の作品を読んでいるかのようだ。
いい人すぎる登場人物はいかにも作り物くさいと感じられる読者もいることだろうが、それでもやはりいい人の話は読む人の心を和ませるものではなかろうか。
バルザックの描く人物の中で、私はヴォートランのような悪人も大好きだが、その性質こそ違えど、ビロトー一家も同じくらいに好ましい人々だと思っている。

今まで全集でしか翻訳されていなかった『セザール・ビロトー』だが、決して退屈な作品ではない。
ストーリーの面白さはもちろん、いかにもバルザックらしい小説でもあるので、バルザックに興味のある人はぜひ読んでみて欲しい。
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