『ホイットマン詩集―対訳』 ホイットマン(岩波文庫)

ホイットマン詩集―対訳 (岩波文庫―アメリカ詩人選)ホイットマン詩集―対訳 (岩波文庫―アメリカ詩人選)
(1997/03/17)
ホイットマン、木島 始 他

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書名:ホイットマン詩集―対訳
著者:ウォルト・ホイットマン
訳者:木島 始
出版社:岩波書店
ページ数:189

おすすめ度:★★★☆☆




ホイットマンが打ち立てた金字塔とも言うべき詩集『草の葉』から33編を抜粋し、対訳という形で出されたのがこの『ホイットマン詩集―対訳』だ。
ホイットマンの詩は、堅苦しい単語の使用が少なく、語順も著しく崩されていない詩行が多いため、英詩の中では比較的読みやすい部類に入るようには思うのだが、翻訳で読むのと比べればはるかに難解であることは事実であり、本書を手にするに当たりある程度の覚悟は必要かもしれない。
そうはいっても、高校生レベルの英語力があればホイットマンの詩の帯びる雰囲気をなんとなく感じ取ることは可能であるし、詩の形式的な方面に関して知識がなくともホイットマンの詩を鑑賞する上でさしたる障害にはならないはずなので、『草の葉』に関心のある方であれば本書は一読の価値ある本だと言えるだろう。

本書には「わたしはアメリカが歌うのを聞く」や、「わたしじしんの歌」のうちの数編をはじめ、黒人奴隷に関するものやリンカーン大統領を悼んで書かれたものなどが収録されており、ホイットマンらしさを非常によく堪能できる選集となっている。
そういう意味では、紙幅の限界によって若干の偏りは見られるものの、『草の葉』の相貌を見事に圧縮した一冊になっているように思われる。

ホイットマンの翻訳には、ホイットマンの奔放さを強調したくだけた文体のものと、他の詩人の作品を訳すのとさほど変わらない文体を用いているものとがある。
具体的に言えば、"I"を訳すのに「わたし」を使うか「ぼく」を使うか、はたまた「おれ」を使うのかといった単語の選択や、文章の調子の高低にけっこう差があるのである。
本書『ホイットマン詩集―対訳』の文体はというと、どちらかといえば堅い方のものを用いているように思うので、ホイットマンの詩といえばくだけたものというイメージを持っておられる読者は、ひょっとすると本書の訳文に少々違和感を覚えられるかもしれない。
しかし、そこは原文が参照できる対訳であるという長所を存分に生かして、ホイットマンのイメージを更新していただければと思う。
ホイットマン、『草の葉』、さらにはアメリカ文学、そして英詩に興味のある方にはお勧めの一冊だ。
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