『新生』 ダンテ(河出書房新社)

新生新生
(2012/03/17)
ダンテ

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書名:新生
著者:ダンテ・アリギエーリ
訳者:平川 祐弘
出版社:河出書房新社
ページ数:229

おすすめ度:★★★★




神曲』の作者として知られるダンテ・アリギエーリの若い頃の作品がこの『新生』である。
30を超えるソネットやカンツォーネが収録されている一種の作品集で、それらが作られるまでの経緯をも自ら述べているという少々珍しいスタイルの作品であり、ある意味では自作の詩に対する解説的な作品とも呼べるかもしれないが、自叙伝風の作品として読むことも十分可能であるように思う。
神曲』の読者であれば誰もがベアトリーチェと呼ばれる女性が一体どのような人物であったのか気にかかるところだろうが、それを説明してくれているのがこの『新生』であるため、『神曲』理解、ひいてはダンテを理解する上では欠かせない作品と言えるはずだ。

『新生』は、まだ若い、と言うより、まだ幼いベアトリーチェにダンテが出会い、一目惚れするところに始まる。
ところが彼が美徳の鑑として崇めていたベアトリーチェは、若くして天に召されることとなる。
「愛」の神にとらわれてしまったダンテは、ことあるごとに思いの丈を詩の形に留めていくのだが、それを時の流れに即して一冊の本に集め、ダンテ自らが簡単な説明を施したのがこの『新生』だ。
特定の数字へのこだわりも随所に垣間見られ、数的構成の光る『神曲』を読まれた読者であれば、そこにダンテらしさを見出すことができるのではなかろうか。

本書の表紙には、『新生』の英訳者の一人でもあるもう一人の「ダンテ」、すなわちダンテ・ゲイブリエル・ロセッティによる『ベアタ・ベアトリクス』という、『新生』の表紙を飾る上でこれ以上ない見事な選択がなされている。
本文中にベアトリーチェが登場するたびにロセッティの絵を思い浮かべながら読んでみるのも面白い読み方なのかもしれない。

大いに興味深い作品である『新生』であるが、やはり『神曲』あっての作品という性格が強い気がする。
制作年代から言うと『新生』のほうが先なので、後に『神曲』を読むという前提ならば先に『新生』を読んでみるのも悪くないように思うが、『新生』だけを読むとすると作品としての魅力はかなり削がれるのではなかろうか。
逆の言い方をすれば、『神曲』にさらなる面白さを与える著作がこの『新生』であるということなのだろう。
神曲』に、またダンテに興味のある方は、ぜひ本書を手にしてみていただきたいと思う。
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