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『ユルシュール・ミルエ』 バルザック(水声社)

ユルシュール・ミルエ (バルザック幻想・怪奇小説選集)ユルシュール・ミルエ (バルザック幻想・怪奇小説選集)
(2007/05)
オノレ・ド バルザック

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書名:ユルシュール・ミルエ
著者:オノレ・ド・バルザック
訳者:加藤 尚宏
出版社:水声社
ページ数:347

おすすめ度:★★★★




水声社のバルザック幻想・怪奇小説選集の第四巻として出版されたのがこの『ユルシュール・ミルエ』だ。
『ユルシュール・ミルエ』は、同じ選集の第一巻に相当する『百歳の人』などとは異なり、人間喜劇にその名を連ねる作品の一つで、『幻滅』や『ウジェニー・グランデ』と共に地方生活情景に分類されている作品である。
内容、書きぶり、テーマ、いずれの側面においてもきわめてバルザックらしい作品なので、バルザックの作品に関心のある方すべてにお勧めしたい。

ヌムールの町には、裕福な老医師と、その被後見人である若き乙女、ユルシュール・ミルエが仲睦まじく暮らしていた。
そしてバルザックの小説に年寄りの金持ちが登場するとなれば、ストーリーの軸はおのずと決まってくると言えるかもしれない。
財産、すなわち遺産の問題がそれだ。
医師の縁者たちは、医師が存命のうちから何とかして少しでも多くの分け前に与ろうと奔走するのだが・・・。
『ユルシュール・ミルエ』は、バルザックの小説に頻繁に取り上げられる、清純な乙女や財産に対して貪欲な人々を描くのみならず、そのあらすじには神秘的な要素も絡まっているため、バルザック自身の興味・関心をそのまま写し取ったかのような印象さえ与えることだろう。

『ユルシュール・ミルエ』には既訳があるらしいが、それは昭和初期のものらしく、現在では入手がほぼ不可能だろうし、仮に入手できても読みやすさの点で問題があるだろうから、水声社による本書が実質的には本邦初訳と言ってもいいくらいではなかろうか。
あまり脚光を浴びることのない作品ではあるが、いかにもバルザックらしいストーリー展開はバルザックのファンであれば必ずや楽しめるに違いない。
個人的にはほとんど難癖の付けどころのない作品に思えるので、自信を持ってお勧めできる一冊だ。
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