『ピエールとジャン』 モーパッサン(新潮文庫)

ピエールとジャン (新潮文庫)ピエールとジャン (新潮文庫)

書名:ピエールとジャン
著者:ギ・ド・モーパッサン
訳者:杉 捷夫
出版社:新潮社
ページ数:245

おすすめ度:★★★★




モーパッサンの長編小説、全六作品のうちの一つがこの『ピエールとジャン』である。
モーパッサンの決して長くなかった作家生活においては中期から後期にかけて執筆された作品であり、それだけ作家としての技巧を感じさせる仕上がりの作品となっている。
短編作家としても活躍したモーパッサンにふさわしく、『ピエールとジャン』の読者はどこか引き締まった印象を受けるに違いない。
明確なプロットを持っているので読みやすいうえに、分量も手頃なので、幅広い読者層にお勧めできる一冊と言えるのではなかろうか。

仲良く暮らしてきた二人の兄弟、ピエールとジャン。
しかし、ある日ジャンにのみ遺産が転がり込んだのを機に、二人の関係は微妙に移り変わっていくことになり・・・。
タイトルには『ピエールとジャン』という風に兄弟の名が並列に並べられており、読者の注意はおのずと二人の兄弟に向けられるはずだが、作品内の描写は全体にややピエールの側に力点が置かれているようだ。
そして二人の間に位置する母親の描き方も、読者を強く引き付ける要因となることだろう。

モーパッサンは、過去に出版された文庫本が、現在では絶版になってしまっているという作品数の多い作家の一人である。
ひょっとすると、モーパッサンは作風に独特のくせのある作家なので、必ずしもすべての人が心の底から楽しめる作品を残したわけではないのかもしれない。
しかし、一度モーパッサンを好きになってしまえば、そのいかにもモーパッサンらしい筋書きや心理描写が、それこそくせになること疑いなしである。
短くも濃密な長編小説『ピエールとジャン』、新品の入手こそしにくいが、モーパッサンに興味のある方には非常にお勧めだ。
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