『深き淵よりの嘆息―『阿片常用者の告白』続篇』 ド・クインシー(岩波文庫)

深き淵よりの嘆息―『阿片常用者の告白』続篇 (岩波文庫)深き淵よりの嘆息―『阿片常用者の告白』続篇 (岩波文庫)

書名:深き淵よりの嘆息―『阿片常用者の告白』続篇
著者:トマス・ド・クインシー
訳者:野島 秀勝
出版社:岩波書店
ページ数:259

おすすめ度:★★★★




ド・クインシーによる『阿片常用者の告白』の続篇となるのがこの『深き淵よりの嘆息』である。
阿片常用者の告白』と比べた場合、『深き淵よりの嘆息』はド・クインシーの阿片吸引の経緯や背景が述べられることが少なく、それだけド・クインシーの接した心象風景に割かれる紙幅が多いのが特徴となっている。
内面世界をたどった具体的かつ個人的な記録という観さえあるほどで、読者がド・クインシーその人に最も肉薄できるのがこの『深き淵よりの嘆息』なのかもしれない。
解説でも触れられているが、19世紀前半の作品とは思えない先駆的な視点の存在も注目に値するだろう。
トマス・ド・クインシー著作集〈1〉トマス・ド・クインシー著作集〈1〉

ド・クインシーに関心を抱いておられる方には、右の『トマス・ド・クインシー著作集〈1〉』もたいへんお勧めだ。
本書は『阿片常用者の告白』、『深き淵よりの嘆息』というド・クインシーの代表作を収録し、さらに『芸術の一分野として見た殺人』という非常に興味深いタイトルの作品をも収録している。
こちらはド・クインシーの諧謔精神に富んだ一面がよく表れている、半ば知的遊戯とでもいうべき作品であり、非常に面白く読めること疑いなしだ。
また、小品ではあるが『「マクベス」劇中の門口のノックについて』も収められており、シェイクスピアの『マクベス』を知っていればこちらも大いに楽しめることだろう。

『深き淵よりの嘆息』は、続篇として位置付けられているだけあって、『阿片常用者の告白』あっての作品という性格が強いのではなかろうか。
そういう意味では、やはりまずは『阿片常用者の告白』を読んでから手にしていただくべき作品なのだろう。
これら一連の「阿片もの」に目を通された読者であれば、必ずやド・クインシー作品の普及が乏しい現在の状態に不満を覚えられるに違いない。
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