『ジョン王』 シェイクスピア(白水Uブックス)

シェイクスピア全集 (〔13〕) (白水Uブックス (13))シェイクスピア全集 (〔13〕) (白水Uブックス (13))

書名:ジョン王
著者:ウィリアム・シェイクスピア
訳者:小田島 雄志
出版社:白水社
ページ数:199

おすすめ度:★★★☆☆




シェイクスピアの歴史劇の一つがこの『ジョン王』である。
ヘンリー六世』や『リチャード三世』などと違い、他の作品との時間的・内容的な連関がなく、独立した一作品となっているのが特徴だ。
強烈なインパクトを残す登場人物に出会うことはないかもしれないが、歴史劇にふさわしく戦争や政治的な駆け引きがプロットの中心に据えられており、その勝敗の行方は読者を作品世界に引き込むに違いない。

ジョン王には気苦労が絶えない。
先王の息子であり、自らの甥でもあるアーサーが、フランスを後ろ盾に王位の返還を主張しているのだ。
自信の王位を確固たるものにすべく、ジョン王はフランスに向けて出陣するのだが・・・。
ジョン王のフランスとの戦争について詳しく知っている方は少ないだろうが、読者はそれだけいっそう政治に宗教もからんだ争いがどう決着するのかを楽しむことができるはずだ。
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ジョン王といえば、「失地王」とも呼ばれていることからもわかるように、イングランドの歴史の中でも最も人気のない国王の一人だ。
その治世に対する後世の評価の低さは二世が現れなかったことからも察せられる。
右の映画『ロビン・フッド』でも決して名君として描かれてはいないが、評判の悪い王だからこそ、それぞれの作者がどのように取り扱うかに大きく差が出るのは事実だろう。
タイトルロールであるジョン王をシェイクスピアがどのような人物として描くのかに注目して読めば、『ジョン王』の面白さは倍増するのではなかろうか。

『ジョン王』は文学作品として高い評価を受けてこなかった作品である。
確かに、読者の期待値の非常に高いシェイクスピアの作と考えて手にしてしまうと、いくらか物足りなさを感じる読者もいることだろう。
そうはいっても、後の傑作悲劇の萌芽とも言うべき場面を複数備えた『ジョン王』は、シェイクスピアに興味のある方であれば面白く読める作品ではないかと思う。
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