『やさしい女・白夜』 ドストエフスキー(講談社文芸文庫)

やさしい女・白夜 (講談社文芸文庫)やさしい女・白夜 (講談社文芸文庫)

書名:やさしい女・白夜
著者:フョードル・ドストエフスキー
訳者:井桁 貞義
出版社:講談社
ページ数:256

おすすめ度:★★★★★




ドストエフスキーの代表的な中編作品二編を収録したのが本書『やさしい女・白夜』だ。
『やさしい女』は後期の作品で、他方の『白夜』は前期の作品ということで、それぞれ違った味わいを秘めているにもかかわらず、その内容はいかにもドストエフスキーが書いたものと感じさせる仕上がりだ。
いずれもドストエフスキーに興味のある方であればぜひ一読しておくべき作品と言えるのではなかろうか。

事件の異常さ、深刻さにおいていかにもドストエフスキーらしいのが『やさしい女』である。
身投げをした妻の遺体を前に、その夫が経緯を述べるというスタイルの作品で、読者を作品世界に引きずり込んで離さない、ドストエフスキーの内的独白の手法が顕著に表れている。
罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』などの長編作品を読んで感銘を受けた読者であれば、必ずや『やさしい女』からもドストエフスキーらしい求心力を感じることだろう。

その一方で、『白夜』においては会話部分が主になっている。
舞台はペテルブルグのとある通りで、孤独や内気といった、ドストエフスキーが好んで描く特性を持った青年が主人公である。
いつものように一人ぶらぶらと散歩していた彼が、人気のない夜更けに、偶然泣いている女性を見つけたものだから・・・。
情景の描写はそれほど多くないが、青年を包む雰囲気を感じながら読むといっそう味わい深い作品となるに違いない。

『やさしい女』も『白夜』もそれぞれ100ページ程度の中編なので、どちらも数時間で読み終えることができる。
ドストエフスキーのエッセンスが詰まっていて、しかも文庫本となっている本書は、とても手頃な一冊であるといえる。
ドストエフスキーに興味はあるが長編作品に手を出しかねている方が、本書『やさしい女・白夜』から始めてみるのもいいように思う。
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