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『トロイラスとクレシダ』 シェイクスピア(白水Uブックス)

シェイクスピア全集 (〔24〕) (白水Uブックス (24))シェイクスピア全集 (〔24〕) (白水Uブックス (24))

書名:トロイラスとクレシダ
著者:ウィリアム・シェイクスピア
訳者:小田島 雄志
出版社:白水社
ページ数:247

おすすめ度:★★★★




『トロイラスとクレシダ』は、一般的には悲劇に分類されることが多いのかもしれないが、同じくヒーローとヒロインをタイトルとした悲劇『ロミオとジュリエット』とはその様相が大きく異なっており、ジャンル分けの難しい「問題劇」の一つに数えられている。
トロイ戦争を舞台にした作品であるため、『イリアス』の登場人物たちに思い入れのある読者に特にお勧めしたい一冊であるが、『トロイラスとクレシダ』には英語読みの名前があまり一般的とは言えない登場人物も多く、アキリーズやヘクターなどはギリシア名に近いから容易に察しはつくだろうが、エージャックスがアイアスを示すというのは注意が必要かもしれない。

トロイの王であるプライアムの王子、トロイラスの恋の相手は、ギリシア方に寝返ったカルカスの娘、クレシダだった。
クレシダの叔父の手引きで相思相愛の二人は結び付けられるが、その後の二人の運命は・・・。
とはいっても、『トロイラスとクレシダ』において、二人の恋物語は必ずしも劇の奏でる主旋律とはなっていない。
むしろアキリーズやヘクター、ユリシーズやエージャックスの活躍に、質からいっても量からいっても多くの紙幅が割かれている。
また、『トロイラスとクレシダ』には『イリアス』とはかけ離れた部分もあり、シェイクスピアがトロイ戦争とその登場人物たちをどう扱うのかは大方の読者にとってたいへん興味深いのではなかろうか。
トロイラスとクレシダ―シェイクスピア全集〈23〉 (ちくま文庫)トロイラスとクレシダ―シェイクスピア全集〈23〉 (ちくま文庫)

『トロイラスとクレシダ』は比較的最近になってちくま文庫からも発売となったようだ。
出版年が数十年先立つ小田島訳が古さを感じさせるということはあまりないと思うが、細かい注釈を期待する読者にはちくま文庫版のほうが適しているように思う。

シェイクスピアの「問題劇」は、その幕切れの解釈に悩む読者が多いことも予想されるが、それだけ無数の読みの存在する可能性を秘めた作品であることは事実であろう。
そしてこの『トロイラスとクレシダ』は、トロイ戦争という題材が非常に有名であるだけに、シェイクスピアの「問題劇」の中では最もなじみやすい作品だと言えるのではなかろうか。
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