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『回転木馬』 D.H.ロレンス(リーベル出版)

回転木馬―D.H.ロレンス戯曲回転木馬―D.H.ロレンス戯曲

書名:回転木馬
著者:D.H.ロレンス
訳者:高橋 克明
出版社:リーベル出版
ページ数:157

おすすめ度:★★★☆☆




20世紀のイギリス文学を代表する小説家として名高いD.H.ロレンスだが、彼の執筆活動はそのジャンルも幅広く、詩や戯曲においても数々の秀作を残しており、その中の一つが戯曲『回転木馬』である。
悲劇とも喜劇ともつかない分類に困る作品で、後期シェイクスピアの問題劇にも似て、ある意味で非常に近代的な作品であるとみなすことができるかもしれない。
個人的にはロレンスといえば自らの作品にいささか大胆過ぎるほどに自分らしさを持ち込む作家であるという印象があるが、この『回転木馬』もくっきりとロレンスの横顔が刻印された作品に仕上がっているように思われる。

病の床に臥せり、死にかけている母親には、ろくに仕事もしないでいる宙ぶらりんの息子と、亡き夫の借金を抱えた未亡人である娘がいる。
母にはまとまった財産があり、面倒を見てくれている看護婦がお気に入りで、さらに出入りのパン屋もいれば、牧師夫婦もいて・・・。
『回転木馬』には一筋縄ではいかぬ複雑な人間模様が描かれているので、それを読み解こうと思えば読者の側にも一定の注意力が要求されるだろうが、そこが本書の読みどころでもあるのではなかろうか。

『回転木馬』は、必ずしも内容的に類似が見られるというわけではないが、息子の母との決別をテーマとしているあたりに『息子と恋人』との連関を強く感じさせる作品となっている。
『回転木馬』は一戯曲として単独で楽しむよりも、ロレンスの作品をいくつか知った上で、特に『息子と恋人』を読んだ上で手にするといっそう深みを覚える作品であるといえようか。
それにしても、ロレンスの作品をいくつも読んでいく中で、ロレンスの作品群における『息子と恋人』の重要度はどれほど高く見積もっても過剰評価にはならないということを度々再認識させられずにはいないのだから不思議なものだ。

『回転木馬』はロレンスの作品をいくつか知っている玄人向けの作品という気もしないでもないが、戯曲というスタイルゆえに読みやすいものであることは間違いない。
ロレンスへの理解を深めたい方はぜひ読んでみていただきたい。
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