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『艶笑滑稽譚』 バルザック(岩波文庫)

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艶笑滑稽譚 第三輯――結婚せし美しきイムペリア 他 (岩波文庫)艶笑滑稽譚 第三輯――結婚せし美しきイムペリア 他 (岩波文庫)

書名:艶笑滑稽譚
著者:オノレ・ド・バルザック
訳者:石井 晴一
出版社:岩波書店
ページ数:480(一)、464(二)、411(三)

おすすめ度:★★★☆☆




タイトルを読んで字の如く、バルザックによる艶っぽく滑稽な物語集が本書『艶笑滑稽譚』である。
ボッカッチョの『デカメロン』のごとく、当初は百話で完結する物語集を目指したらしいが、より膨大な構想から成る「人間喜劇」の創作に埋もれたからか、三十話までしか出版するには至らなかったらしく、翻訳でも全三冊となっている。
ラブレーの『ガルガンチュアとパンタグリュエル』からの影響が強く、ある意味で一種の正統フランス文学の流れを継承した作品と言えるかもしれない。
『艶笑滑稽譚』の作風は一般的なバルザック像とはかけ離れているかもしれないが、それだからこそ、バルザックに興味のある読者を引き付ける作品になっているはずだ。

『艶笑滑稽譚』に収録されている物語は、「艶笑」の名に恥じない、性的なおかしみをはらんだものが大半を占めている。
全般に下品と言えば下品であるし、文学作品に奥深さを求める読者には物足りないところもあるかもしれないが、単純に本に面白さを期待する読者は『艶笑滑稽譚』に何度もほくそ笑まされることだろう。

ギュスターヴ・ドレの版画が多数挿入されているのもうれしいが、付録が充実しているのも『艶笑滑稽譚』の特徴の一つである。
日本語訳を聞いても今ひとつぴんとこない装身具や武具に関しては、その図版が載せられているので、それらのイメージをつかむことができる。
話が変わる度に既出の語にも改めて付される訳注は少々過剰のきらいがあるが、通しで読まない読者にとってはそれも利便性が高いのだろうか。

『艶笑滑稽譚』はかつて岩波書店から単行本として出版されていて、それはそれでたいへん評判が良かったらしいのだが、近年になってそれが三分冊の文庫本という入手しやすい形で刊行された。
あえて古めかしさを加味するために擬古文を用いているため、読みにくさを感じる読者も少なからず存在することだろうし、その内容からいって向き不向きもあることだろうが、とりあずは第一輯を手にして各々吟味いただければと思う。
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