『終わりよければすべてよし』 シェイクスピア(白水Uブックス)

シェイクスピア全集 (〔25〕) (白水Uブックス (25))シェイクスピア全集 (〔25〕) (白水Uブックス (25))

書名:終わりよければすべてよし
著者:ウィリアム・シェイクスピア
訳者:小田島 雄志
出版社:白水社
ページ数:197

おすすめ度:★★★☆☆




シェイクスピアの中期から後期にかけての作品と推定されている喜劇の一つがこの『終わりよければすべてよし』だ。
「問題劇」と呼ばれることもあるという、一筋縄ではいかない少々込み入った作品で、ストーリー自体に難解さはまったくないにもかかわらず、いざ作品を解釈しようとすると深みにはまりかねないという、いかにもシェイクスピアらしいとらえ難さをはらんだ作品となっている。

王に仕えるために領地を後にする若き伯爵は、その母である伯爵夫人に引き取られ育てられていた孤児の娘、ヘレナに熱烈に愛されていた。
今は亡き名医である父から、多くの病を治癒することのできる薬の処方を受け継いでいたヘレナは、王の病を治し、王に伯爵との結婚を願い出るために、伯爵の後を追うのだったが・・・。
追うヘレナ、追われる伯爵という構図が最終的ににどう決着するのか、喜劇作品であるということからだいたい予想はつくだろうが、あらすじ以外にも楽しめる部分の多いのがシェイクスピアの作品なので、読者が退屈を覚えることはないはずだ。

『終わりよければすべてよし』は、それほど切れ味のよい「終わり」を迎えるかというとそうでもないため、必ずしも喜劇としての出来がいいとは言えないのかもしれない。
しかし、女主人公であるヘレナや、『終わりよければすべてよし』中、最もコミカルな登場人物であるペーローレスの存在感は秀でており、シェイクスピアに関心のある読者であれば、この二人に出会えただけでも十分満足できるのではなかろうか。
特にそれらの人物像が芝居として上演され、役者の演技によってさらなる奥行きを与えられた場合を想像すると、強い興味をそそられずにはいないように思われる。

さらりと読み流すよりも、批判的精神にさらしながら読まれたときにその魅力を存分に発揮するに違いない『終わりよければすべてよし』。
一歩踏み込んだシェイクスピア作品の鑑賞を好まれる読者にお勧めしたい。
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

カテゴリ
PR
最新記事
RSSリンク