『ボズのスケッチ 短編小説集』 ディケンズ(岩波文庫)

ボズのスケッチ―短篇小説篇〈上〉 (岩波文庫)ボズのスケッチ―短篇小説篇〈上〉 (岩波文庫)
(2004/01/16)
ディケンズ

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ボズのスケッチ 短編小説集(下) (岩波文庫)ボズのスケッチ 短編小説集(下) (岩波文庫)
(2004/02/17)
ディケンズ

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書名:ボズのスケッチ
著者:チャールズ・ディケンズ
訳者:藤岡 啓介
出版社:岩波書店
ページ数:281(上)、302(下)

おすすめ度:★★★☆☆




イギリスの国民的作家といえばチャールズ・ディケンズだが、新聞や雑誌に掲載された最も初期の短編を集めたのがこの『ボズのスケッチ』で、これをディケンズのデビュー作と考えてもそう大きな誤りとは言えないだろう。
ディケンズは長編のイメージの強い作家だが、短編にも味わい深い作品を残していると知ることのできる短編集だ。

ディケンズという作家は、後期の作品と比べると初期の頃の作品の方が全体的に明るく、世界を楽観視しているような印象を受けやすいが、『ボズのスケッチ』でもやはりその特徴は顕著だ。
そのような作風を作家の未熟ととらえることもできるかもしれないが、私はそれを作家デビューという輝かしい第一歩を踏み出した青年ディケンズの気分の反映なのではないかと思う。
ディケンズの十八番である優しさに満ちたユーモアは表れているし、それぞれの話が短いので、読みやすさはディケンズの全作品の中でも屈指だろう。

そうはいっても、ディケンズの醍醐味はやはり長編作品でこそ発揮されているのではなかろうか。
強引なストーリー展開や、女性の描写が画一的であるなど、欠点はいろいろと指摘されるし、確かに専門家の批評眼を持たずとも疑問点を抱かずにはいられない作品が多いのは事実だが、それでもディケンズの長編小説は一つ読み終えればその他も読みたくなるという、読者を惹きつけてやまない魅力を存分に持っている。
もし今までディケンズを読んだことのない人がディケンズの小説を何か読んでみたいと言うのであれば、私は何の迷いもなく長編作品を強くお勧めすることだろう。

『ボズのスケッチ』に関して言えば、優れた短編集だから翻訳されたというよりは、かの文豪ディケンズの短編集だからという理由で翻訳されたような感が拭いがたい。
決して出来の悪い作品集ではないのだが、『ボズのスケッチ』はディケンズを楽しむ上で補助的な役割を担う作品のように思えるので、『オリヴァー・ツウィスト』や『デイヴィッド・コパフィールド』などの代表作に触れた後で読んでみてほしい。
そうすれば『ボズのスケッチ』はディケンズという作家に味を付けるいい薬味になると思う。
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