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『食人国旅行記』 サド(河出文庫)

食人国旅行記 (河出文庫―マルキ・ド・サド選集)食人国旅行記 (河出文庫―マルキ・ド・サド選集)

書名:食人国旅行記
著者:マルキ・ド・サド
訳者:渋澤 龍彦
出版社:河出書房新社
ページ数:310

おすすめ度:★★★☆☆




サドの長編作品『アリーヌとヴァルクール又は哲学小説』より、一部を抜粋したのが本書『食人国旅行記』である。
その表題からして、『ソドムの百二十日』のような極端に残酷な物語を想像する読者もいることだろうが、実際にはそれほどでもないため、嫌悪感を覚える読者は少ないことだろう。

恋人を探しに未知の国に赴くこととなった若き青年が、自身の体験した冒険旅行を物語ったのが『食人国旅行記』である。
ユートピア文学の一つに数えてしかるべき作品で、理想的な国家と理想的ならぬ国家が対置されているため、それぞれの特徴がいっそう浮き彫りになっている。
差し挟まれる議論の部分が少々長すぎるきらいもあるが、著者であるサドに迫るにはそういう部分こそ重要になってくるともいえようか。
アリーヌとヴァルクール又は哲学小説アリーヌとヴァルクール又は哲学小説

右は、『食人国旅行記』の原著である『アリーヌとヴァルクール又は哲学小説』の佐藤晴夫氏による完訳だが、単行本で800ページに及び、ましてサドの文体を考え合わせれば、なかなかのボリュームであるといえる。
河出書房も、一部を抜粋して『食人国旅行記』として訳出するのではなく、『アリーヌとヴァルクール又は哲学小説』の抄訳版を文庫本二冊程度で出してくれればよかったのに、と感じるのは私だけだろうか。

サドの作品にしては、性的描写や残虐行為への言及が乏しい『食人国旅行記』は、やはり典型的なサドの作品と呼ぶことができないように思う。
しかし、全体にソフトなタッチながら、サドの思想は明確に伝えられているので、あまり露骨な性的表現を好まれない方には格好のサドの入門書となるかもしれない。
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