『尺には尺を』 シェイクスピア(白水Uブックス)

シェイクスピア全集 (〔26〕) (白水Uブックス (26))シェイクスピア全集 (〔26〕) (白水Uブックス (26))

書名:尺には尺を
著者:ウィリアム・シェイクスピア
訳者:小田島 雄志
出版社:白水社
ページ数:200

おすすめ度:★★★☆☆




シェイクスピアの喜劇作品の中で、二十世紀になってから注目度を高めているという、いわば「再発見」されたとも言うべき作品がこの『尺には尺を』である。
中世からルネサンス期にかけてよく用いられたいくつかのモチーフが織り交ぜられて一つの喜劇を構成しているからか、『尺には尺を』は初めて読んだ読者に対しても、それほど新しい作品に接したという印象を与えないように思われるが、それだけ古典的な落ち着きをたたえた安定感ある作品と言えるのではなかろうか。

領地での采配を信任厚き家臣アンジェロに託し、お忍びの身となった公爵は、謹厳この上ないアンジェロが、姦通は死罪をもって裁かれるという、これまでないがしろにされていた法律を彼なら厳密に施行してくれるのではないかと期待していた。
そしてアンジェロは、姦通の罪を犯した紳士クローディオに早速その刑罰を適用しようとするのだったが、命乞いに現れたその妹に瞬く間に魅了されてしまい・・・。
「姦通」という語自体がほとんど死語に等しくなっている今日の日本の読者にとっては、姦通を争点とした戯曲である『尺には尺を』は、その主題からしてやはり古色を帯びているのかもしれない。

読者からの期待値の高いシェイクスピアだけにハードルが高くなっているのは事実であるが、『尺には尺を』からは筋運びの巧みさがさほど感じられない。
さらに言えば、圧倒的な存在感を示す登場人物も特に見受けられないように思うが、それでも随所にシェイクスピアらしい名台詞という刻印が施されているのがこの『尺には尺を』である。
『尺には尺を』に散見する不可解な点は、そっくりそのまま不可解な点として興味深いものであるし、シェイクスピアの喜劇作品の『夏の夜の夢』や『お気に召すまま』といった有名どころを一通り読み終えた方にお勧めの作品だ。
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