『荒涼館』 ディケンズ(ちくま文庫)

荒涼館〈1〉 (ちくま文庫)荒涼館〈1〉 (ちくま文庫)荒涼館〈2〉 (ちくま文庫)荒涼館〈2〉 (ちくま文庫)荒涼館〈3〉 (ちくま文庫)荒涼館〈3〉 (ちくま文庫)

荒涼館〈4〉 (ちくま文庫)荒涼館〈4〉 (ちくま文庫)

書名:荒涼館
著者:チャールズ・ディケンズ
訳者:青木 雄造、小池 滋
出版社:筑摩書房
ページ数:458(一)、465(二)、438(三)、400(四)

おすすめ度:★★★★★




ディケンズ中期の長編作品の一つであり、ディケンズの作品の中で隠れた人気を誇るのが本書『荒涼館』である。
初期作品と異なり、伏線の張り巡らされた密な構成により完成度の高さを感じさせると共に、作品が行う社会批判にも厳しいものがある。
タイトルから連想される暗鬱な雰囲気もしばしば垣間見えるものの、ディケンズならではのユーモアセンスは健在なので、ディケンズのファンのみならず、幅広い読者層に強くお勧めしたい作品だ。

『荒涼館』の主人公も、ディケンズの長編作品にありがちなようにやはり心優しき孤児、エスタである。
自分の両親が誰なのかさえ知らないエスタは、とある遺産相続にまつわる裁判にて長らく係争中の後見人の元へと引き取られることが決まり・・・。
『荒涼館』は、エスタの一人称で語られる部分と全知の書き手が三人称で語る部分とが交互に連ねられていて、読者の視点もその都度変更を迫られるという興味深いスタイルを用いている。
ましてミステリー風の緊迫感に満ちた『荒涼館』は、それだけでも読者を引き込むのに十分な魅力を備えているはずだ。
荒涼館 全4巻セット荒涼館 全4巻セット

しばしば再版のなされている『荒涼館』は、いまだに新品での入手が可能で、右に示すように全4巻セットもある。
オリヴァ・ツウィスト』や『デイヴィッド・コパフィールド』と比べると、その邦訳が格段に地味な位置に甘んじている『荒涼館』ではあるが、数十年にわたって多くの人に受け入れられ続けていることが作品としての質を保証しているとも言えるのではなかろうか。

全4巻に及ぶ『荒涼館』は、いざ読み始めれば読者が勢い付くことは間違いないが、そうはいっても登場人物が多いため、なるべく短期間に一気に読まれるほうがいいかもしれない。
時間の都合でそれは難しいという方も少なくないことだろうが、読んだことを後悔するような作品ではないので、まずは一読をお勧めしたい。
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