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『タイピー』 メルヴィル(メルヴィル全集)

メルヴィル全集 第1巻 タイピーメルヴィル全集 第1巻 タイピー

書名:タイピー
著者:ハーマン・メルヴィル
訳者:坂下昇
出版社:国書刊行会
ページ数:279

おすすめ度:★★★★




白鯨』で知られるメルヴィルの処女作が本書『タイピー』である。
メルヴィル本人と思われる主人公が「蛮族」の支配する南海の孤島での体験を語ったというスタイルの作品で、「蛮族」の生活風習の描写に割かれる説明的部分もあるにはあるが、全般に物語性の豊かさが特徴となっている。
また、『白鯨』ほどの迫力や雄渾さには欠けるものの、物語としての読みやすさで言えば『タイピー』が一枚上手であるのではなかろうか。

捕鯨船に乗り込んだ主人公の青年だったが、劣悪な労働環境に耐え兼ねたため、マルケサス諸島の一島にて仲間のトビーを誘って船からの脱走を試みることにした。
空腹や疲労に打ち据えられつつも島の奥深く入っていく二人だったが、島の奥地には人肉さえ食するという獰猛な部族、タイピーが住んでいるのだった・・・。
西洋文明における常識人である主人公の視点は、いかにも当時のアメリカ人らしいものであり、そこには今日の日本人でも何の違和感もなく共感できる部分が多く、読者は『タイピー』にクラシカルな面と現代的な面とをそれぞれ感じることができるように思う。
タイピー 南海の愛すべき食人族たち (シリーズ世界の文豪)タイピー 南海の愛すべき食人族たち (シリーズ世界の文豪)

『タイピー』は、難解な作家と評されることの多いメルヴィルにしては非常に読みやすい作品なので、それだけ多くの読者を獲得できるように思われるにもかかわらず、その邦訳となるときわめて流通量が少ないのが現状である。
メルヴィル全集の『タイピー』はAmazonでも品切れとなっているが、右に挙げるように柏艪舎からも出されているので、私自身はそれを手にしたことはないのだが、そちらで読むというのが現在唯一の手段なのかもしれない。
いずれにしても、どこか『ロビンソン・クルーソー』のような雰囲気すら漂う『タイピー』は、メルヴィルに関心のある方に強くお勧めしたい一冊だ。
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