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『エル・シードの歌』 (岩波文庫)

エル・シードの歌 (岩波文庫)エル・シードの歌 (岩波文庫)

書名:エル・シードの歌
著者:作者不詳
訳者:長南 実
出版社:岩波書店
ページ数:459

おすすめ度:★★★★




スペイン文学の出発点に位置する武勲詩が、この『エル・シードの歌』である。
エル・シードは歴史上の実在の人物で、武勲詩において多少の脚色が施されていることは否定できないが、それでも『エル・シードの歌』は概ね史実を元にした、かなりリアリティに富んだ作品であると言えるように思う。
スペイン人たちとイスラム勢との戦いを眼前に見ているかのような迫力ある描写も、大いに読者を楽しませてくれることだろう。

陰謀によって王の不興を被ったエル・シードは、故郷から追放の身となってしまう。
しかしエル・シードは部下を引き連れイスラム勢との戦いを続け、破竹の勢いでバレンシアにまで迫り・・・。
扱う事件の性質からして、『エル・シードの歌』は血なまぐさい作品にもなりかねないが、主人公であるエル・シードの発揮する騎士道精神のおかげでどこか心地よいものを感じさせられるため、読後の印象が悪いということはないはずだ。

岩波文庫版の表紙のように、エル・シードは生まれ故郷に程近いブルゴスの町の広場に今も騎馬像がある。
日本であまり多くは紹介されていないスペイン文学であるが、レコンキスタ時代の遺産を数多く遺すスペインを旅行される方には、『ドン・キホーテ』はもちろん、この『エル・シードの歌』をも一読されることをお勧めしたい。
熾烈な戦闘を支えた騎士たちの生き様を心に焼き付けておけば、スペインならではの荒涼とした平野にさえ、違った景色が見えてくることだろう。

英雄を主人公にした物語は、描かれている出来事のダイナミックさが一つの魅力であろう。
そしてこの『エル・シードの歌』は、その雄渾さにおいて必ずや読者を満足させるに違いない躍動感を備えているし、『忠臣蔵』にも通ずるような主君への忠義立ての美しさも描かれている。
後半部分からはやや失速したような印象を受けてしまうが、それでもなお、個人的にはたいへんお勧めの作品だ。
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