『シンベリン』 シェイクスピア(白水Uブックス)

シェイクスピア全集 (〔34〕) (白水Uブックス (34))シェイクスピア全集 (〔34〕) (白水Uブックス (34))

書名:シンベリン
著者:ウィリアム・シェイクスピア
訳者:小田島 雄志
出版社:白水社
ページ数:248

おすすめ度:★★★☆☆




シェイクスピア晩年の作である『シンベリン』は、『ペリクリーズ』などと同様、ロマンス劇に分類されている作品である。
また、シンベリンがローマ帝国の支配下にあったブリテンの王であるため、広義では「ローマもの」の一つに数えることもできるのかもしれない。
どちらかといえばシェイクスピアの他の名作の陰に隠れがちで、注目を集めることの少ない作品であるため、やや玄人向けの作品と言えるだろうか。

娘であるイモージェンの素性の釣り合わない結婚に怒ったシンベリンは、その夫であるポステュマスをブリテンから追放する。
ローマへと逃げ延びたポステュマスだったが、その頃ローマとブリテン両国間の雲行きは怪しくなってきており・・・。
ポステュマスがイモージェンの貞操を信じて疑わないエピソードや、幼い頃に連れ去られていたシンベリンの息子たちのエピソードが、けっこうな紙幅を用いながら並行して展開するため、読者は『シンベリン』に盛り沢山な印象を受けることだろう。
シンベリン―シェイクスピア全集〈22〉 (ちくま文庫)シンベリン―シェイクスピア全集〈22〉 (ちくま文庫)

著名な作品から順次刊行されていっているちくま文庫のシェイクスピア全集においても、『シンベリン』はその22冊目として既刊となっている。
シェイクスピアの全作品における『シンベリン』の完成度や重要度を考えると、22冊目として出版されるのは個人的には妥当な位置付けではないかと思われる。

先ほども述べたように、『シンベリン』には複数のモチーフが用いられていて読み応えがあるのだが、強いて挙げるとすれば、結末の付け方が少々強引なのが『シンベリン』の難点だろうか。
シェイクスピアの傑作の完成度の高さを知っているだけに、『シンベリン』をあまり高く評価することはできないものの、戯曲としての読む楽しさを十分備えていることは疑いようもなく、読んで後悔することはないはずなので、シェイクスピアに、ロマンス劇に関心のある方にはお勧めできる作品だ。
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