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『ブエノスアイレスの熱狂』 ボルヘス(大和書房)

ブエノスアイレスの熱狂 (1977年)ブエノスアイレスの熱狂 (1977年)

書名:ブエノスアイレスの熱狂
著者:ホルヘ・ルイス・ボルヘス
訳者:鼓 直、木村 栄一
出版社:大和書房
ページ数:254

おすすめ度:★★☆☆☆




若きボルヘスが自費出版した処女詩集であり、いわばボルヘスの出発点として知られる作品が『ブエノスアイレスの熱狂』だ。
しかし、大和書房から出されている本書『ブエノスアイレスの熱狂』は、その書名からでは察することができないが、実はボルヘスの詩作品や短編、エッセーを集めたアンソロジーとなっている。
詩集『ブエノスアイレスの熱狂』を読みたいという人は失望するだろうが、『伝奇集』に収められているような有名な短篇作品をあえて外してボルヘスの作品を幅広く収録しているので、ボルヘスの短編作品以外の世界を垣間見てみたいという読者には向いている一冊かもしれない。

若い頃のボルヘスは、ブエノスアイレス、ひいてはアルゼンチンに根ざした詩を多く書いていたが、本書からもその特徴を窺うことができる。
また、ボルヘスが中心人物の一人でもあった当時の前衛的な運動であるウルトライスモも、その片鱗がかすかに見られるように思う。
本書に収録されている詩作品の創作年代はおよそ50年もの長きに及んでいるので、ボルヘスの詩の傾向性の移り変わりも感じ取ることができるだろう。

先ほども述べたように、本書『ブエノスアイレスの熱狂』はボルヘスの処女詩集『ブエノスアイレスの熱狂』の全訳ではなく、『闇を讃えて』や『エバリスト・カリエゴ』、『論議』や『エル・オトロ、エル・ミスモ』などからの抜粋によって編まれている。
肝心の『ブエノスアイレスの熱狂』の訳出はわずか15ページほどに過ぎず、『エル・オトロ、エル・ミスモ』に至っては60ページも割かれているので、正直に言ってなぜ『ブエノスアイレスの熱狂』という書名が選ばれたのかは皆目見当がつかない。
本書を手にする人が皆、本書は『ブエノスアイレスの熱狂』の全訳ではないということを理解した上で手にされることを期待するばかりだ。
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