『カレワラ―フィンランド国民的叙事詩』 (講談社学術文庫)

カレワラ―フィンランド国民的叙事詩 (上) (講談社学術文庫 (612))カレワラ―フィンランド国民的叙事詩 (上) (講談社学術文庫 (612))カレワラ―フィンランド国民的叙事詩 (下) (講談社学術文庫 (613))カレワラ―フィンランド国民的叙事詩 (下) (講談社学術文庫 (613))

書名:カレワラ―フィンランド国民的叙事詩
著者:作者不詳
訳者:森本 覚丹
出版社:講談社
ページ数:469(上)、476(下)

おすすめ度:★★★☆☆




フィンランド国民の間でもっぱら口伝えにより語り継がれていた民間伝承を編纂して完成した一大叙事詩がこの『カレワラ』である。
原作に備わったリズムや音感を味わうことができないのは詩の翻訳の常であるが、古くからのフィンランド人の精神生活に触れることができるという意味では貴重な作品であるといえる。

『カレワラ』には魔法使いや魔女、巨人や巨大な生物などが登場する。
作中において主人公級の活躍を見せるワイナモイネンも様々な術を操り、それが『カレワラ』の主旋律を成している。
しかし、そのワイナモイネンは白髪の老人なので、年寄りであることを理由に結婚を断られたりと、あまり英雄らしからぬ一面も持っていて、どこか微笑ましいところもる。
『カレワラ』は超自然的な現象が数多く語られてはいるものの、登場人物たちの言動は概して人間的・実際的であるようだ。
カレワラ 上―フィンランド叙事詩 (岩波文庫 赤 745-1)カレワラ 上―フィンランド叙事詩 (岩波文庫 赤 745-1)カレワラ 下―フィンランド叙事詩 (岩波文庫 赤 745-2)カレワラ 下―フィンランド叙事詩 (岩波文庫 赤 745-2)

右に示すように、『カレワラ』は岩波文庫からも出版されている。
講談社学術文庫の森本訳は、本邦初の『カレワラ』全訳ということで記念すべき訳業なのだが、単純に文章の読みやすさだけを比較するなら、岩波文庫版のほうが読みやすいかもしれない。
出版年だけを見ると岩波文庫版のほうが古いようにも見えるが、森本訳が文庫化された年月が1983年というだけのことで、実際に訳出された年代は岩波文庫のほうが新しいので、なるべく新しい翻訳で読みたいという方には岩波文庫版がお勧めだ。

『カレワラ』を『ベーオウルフ』や『ニーベルンゲンの歌』のような英雄叙事詩と比べると、ストーリーの盛り上がりに欠けるのは事実であるし、『カレワラ』に特有の言い換えを多用するというまわりくどさの存在は否めない。
そうはいっても、民間伝承でここまでの物語が成立したという事実は驚嘆に値するものなので、それだけでも一読の価値があると言えるのではなかろうか。
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