『ブッデンブローク家の人びと』 トーマス・マン(岩波文庫)

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ブッデンブローク家の人びと 下 (岩波文庫 赤 433-3)ブッデンブローク家の人びと 下 (岩波文庫 赤 433-3)

書名:ブッデンブローク家の人びと
著者:トーマス・マン
訳者:望月 市恵
出版社:岩波書店
ページ数:357(上)、373(中)、367(下)

おすすめ度:★★★★★




トーマス・マンの出世作であり、後にノーベル賞の受賞理由としてもその名が挙げられることになる彼の代表作の一つがこの『ブッデンブローク家の人びと』である。
全3冊と文章量こそ少なくないが、全般に平易な文体で書かれていてたいへん読みやすいので、トーマス・マンに興味のある人はぜひ手にしていただければと思う。

『ブッデンブローク家の人びと』は、その表題のとおり4代に及ぶブッデンブローク一族を描いたものである。
事業を起こし、着々と成功を重ね、隆盛の一途をたどる商会だったが、いつしかかげりが見え始め・・・。
作品の性質上、作中では多くの登場人物たちが現れては消えていくが、個々の人物の性格付けや心理描写の巧みさに、読者はトーマス・マンの優れた才能を感じ取ることができるだろう。

『ブッデンブローク家の人びと』は、数代にわたって一族の命運を描いた長編作品という点でパール・バックの『大地』などに似ているが、『ブッデンブローク家の人びと』はマン自身の一族をモデルにしているというのが特徴的である。
おそらくはトーマス・マンも本作への思い入れが強かったであろうし、読者にもそれが伝わるからか、『ブッデンブローク家の人びと』の読者は気が付けば19世紀のドイツ社会へと引き込まれていることだろう。

トーマス・マンの代表作の一つとされる『ブッデンブローク家の人びと』であるが、それはなにも『ブッデンブローク家の人びと』が彼の作品群において平均的な位置付けであることを意味するわけではなく、本書から彼の全作品に共通する作風を推察するのは少々早計と言わざるをえない。
それでいて、トーマス・マンの作品を読み始める人に自信を持ってお勧めできるのが、読みやすくもあり文学作品としての読み応えも十分備えたこの『ブッデンブローク家の人びと』なのである。
トーマス・マンの築いた豊かな文学的宝庫への足がかりとして、『ブッデンブローク家の人びと』は最適な作品となるに違いない。
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