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『白孔雀 セント・モア』 D.H.ロレンス(世界の文学)

世界の文学〈第34〉ロレンス (1966年) 白孔雀 セント・モア世界の文学〈第34〉ロレンス (1966年) 白孔雀 セント・モア

書名:白孔雀 セント・モア
著者:D.H.ロレンス
訳者:伊藤 整、伊藤 礼
出版社:中央公論社
ページ数:550

おすすめ度:★★★★




ロレンス最初の小説作品である『白孔雀』と、ロレンスの晩年の思想が浮き彫りになっている小説である『セント・モア』を収録しているのが本書である。
私が知る限りでは『白孔雀』も『セント・モア』もこの『世界の文学』から出された一冊以外には翻訳がなく、今後再版が行われるようにも思えないので、ロレンスに興味のある読者にとってはなかなか貴重な本と言えるのではなかろうか。

若きロレンスが書き上げた『白孔雀』は、田舎の美しい風景の中で繰り広げられる若き男女たちの恋愛模様を描いた、作家の若さをも感じさせる作品である。
とはいえ、小説としての完成度の高さには目を見張るものがあり、単なる青春ドラマに堕していないあたりもさすがロレンスと言わざるをえない。
息子と恋人』同様、ロレンスの自伝的要素が随所に表れているので、あらかじめロレンスの伝記的事実をいくらか知っているといっそう楽しめるかもしれない。

一方、円熟期の作品である『セント・モア』は、文章量でいえば長編作品に分類されるのであろうが、一般的な意味での長編小説とは違った独特の味わいを秘めている作品だ。
「セント・モア」とは、容姿こそ優れているが扱いにくい気性を持った馬の名で、その馬に魅せられた若い妻を中心に、気取った夫、強気な母、寡黙な馬丁などが作中でそれぞれ存在感を放っている。
『セント・モア』はロレンスの思想の読み取れる作品であるが、それでいて会話部分も豊富でなおかつストーリー性もあるので、難解さや堅苦しさを感じる読者は少ないはずだ。

一冊の本の中で、ロレンスの初期の作風と後期のそれとの差異を体感できるのも本書の長所の一つである。
基本的には中古品しか入手できないが、十分読むに値する二作品がまとめられているので、ロレンスに関心のある方には強くお勧めしたい。
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