『ヴェニスに死す』 トーマス・マン(岩波文庫)

ヴェニスに死す (岩波文庫)ヴェニスに死す (岩波文庫)

書名:ヴェニスに死す
著者:トーマス・マン
訳者:実吉 捷郎
出版社:岩波書店
ページ数:167

おすすめ度:★★★★★




ベニスに死す [DVD]ベニスに死す [DVD]
トーマス・マンの中編小説である『ヴェニスに死す』は、右に示したビスコンティ監督による映画作品のおかげもあって、マンの作品の中では最もその名が知られているのではなかろうか。
誰もが胸躍らせて読めるという類の作品ではないように思うが、トーマス・マンの最高傑作であると見る人も少なくないほど、傑作としての評価には揺るぎないものがあるので、やはり一読の価値はあると言える。

『ヴェニスに死す』の主人公は、ヴェニスを訪れた初老の作家である。
古代ギリシアの彫像を髣髴とさせるような肉体美を備えた少年との出会いが、彼の運命を大きく変えていき・・・。
岩波文庫版の表紙には作品のあらすじが大方記載されてしまっているが、それが読者の楽しみを損なってしまうかというとそうでもない。
そもそも表題からして多少ネタばれなのであるし、『ヴェニスに死す』の醍醐味はそのあらすじよりも作品の帯びている精神性やマンの筆致にあるということなのだろう。
ヴェネツィアに死す (光文社古典新訳文庫)ヴェネツィアに死す (光文社古典新訳文庫)

比較的近年刊行された光文社古典新訳文庫では、本書は『ヴェネツィアに死す』とのタイトルになっている。
古くは『ベネチア客死』という邦題を付されたりもしていたようだが、いくら「ヴェニス」が主流になっているとはいえ、作者が英語圏でもないのだからあえて「ヴェニス」とする理由はない、と考える訳者もいるからなのだろう。

『ヴェニスに死す』を退屈な作品だと感じる読者がいるのは事実であるし、作品の性質上、それはやむをえないことだと思う。
しかし、著名な作品にはやはり著名になるだけの理由があるわけで、文章量も手頃な『ヴェニスに死す』を一度試してみることに損はないのではなかろうか。
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

カテゴリ
PR
最新記事
RSSリンク