『嵐が丘』 エミリー・ブロンテ(新潮文庫)

嵐が丘(上) (岩波文庫)嵐が丘(上) (岩波文庫)嵐が丘〈下〉 (岩波文庫)嵐が丘〈下〉 (岩波文庫)

書名:嵐が丘
著者:エミリー・ブロンテ
訳者:河島 弘美
出版社:岩波書店
ページ数:313(上)、378(下)

おすすめ度:★★★★★




イギリス文学を代表する長編作品の一つである『嵐が丘』は、夭折の作家エミリー・ブロンテにとって唯一の長編作品である。
一人の男の執念をとことん描ききった『嵐が丘』から読者が感じるのは、19世紀の女流作家が創造したとは思えないような荒涼とした力強さだろう。
『嵐が丘』に退屈さを覚える読者がいるとは到底思えないので、ぜひ一人でも多くの読者が手にしていただければと思う。

『嵐が丘』の読みどころといえば、やはり強靭な精神力を備えたヒースクリフの愛と憎しみではなかろうか。
白鯨』のエイハブ船長のように一種の特異な人物類型が創り出されているので、ヒースクリフだけに焦点を絞って読み進めていっても十分楽しめるに違いない。
『嵐が丘』の人物構成を説明するのにしばしば家系図を目にすることがあるが、正直に言って家系図はあまりいい説明の手段ではないだろう。
登場人物はそう多くないにもかかわらず名前の重複が多いせいで少々関係が入り組んでいるため、『嵐が丘』は短時日で一気に読み通すことをお勧めしたい。
嵐が丘〈上〉 (光文社古典新訳文庫)嵐が丘〈上〉 (光文社古典新訳文庫)嵐が丘〈下〉 (光文社古典新訳文庫)嵐が丘〈下〉 (光文社古典新訳文庫)

欧米文学屈指の名作の一つである『嵐が丘』は、日本語訳も非常に多くなされてきている。
右はそれらの中でも最も新しい光文社古典新訳文庫から出されたもので、私の読んだ岩波文庫版と同様、評判もそう悪くないようだ。
新潮文庫からも新訳が出されており、こちらは二分冊ではなく一冊にまとまっているというメリットがあるものの、多くの読者から酷評を受けているようなので訳文の良し悪しにこだわる方は避けたほうが無難かもしれない。

『嵐が丘』を読み終えた読者は、寡作ゆえに決して文豪とは呼ばれることのないエミリー・ブロンテの力量に驚かされることだろう。
読者の期待を上回る感銘を与えてくれるに違いないのが『嵐が丘』なので、必読の一冊として強くお勧めしたい。
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