『死の床に横たわりて』 フォークナー(講談社文芸文庫)

死の床に横たわりて (講談社文芸文庫)死の床に横たわりて (講談社文芸文庫)

書名:死の床に横たわりて
著者:ウィリアム・フォークナー
訳者:佐伯 彰一
出版社:講談社
ページ数:304

おすすめ度:★★★★★




『響きと怒り』と同時期に書かれたフォークナーの長編作品の一つがこの『死の床に横たわりて』である。
他の長編作品と比べるとやや短めであるが、小説としての完成度は他に劣るどころかむしろ上回ってさえいるかもしれない。
作品を通じて「意識の流れ」を徹底的に駆使しており、フォークナーの手法を知る上で貴重な作品となっているし、それでいてさほど難解さの感じられない読みやすい作品でもあるので、フォークナーに興味のある読者には一読をお勧めしたい。

田舎の農家バンドレン家に嫁ぎ、今や死の床で瀕死の状態にあるアディの望みはといえば、出身の町であるジェファソンに葬ってもらうことだった。
間もなくアディが亡くなり、夫や子供たちによって埋葬のための長い旅が始まったのだが・・・。
『死の床に横たわりて』は、各登場人物の独白の連続というスタイルで物語が進められていくのだが、バンドレン一家が揃いも揃って変人ばかりなので、個性的な独白ばかりが続くことになる。
作品内には説明的な文章が少なめなので人物構成が判別しにくいかもしれないが、講談社文芸文庫版の場合は巻頭に主な登場人物が記載されているので、それさえ頭に入れておけばすんなりと作品世界に入っていけることだろう。

他にも優れた作品を多く残しているフォークナーの場合、代表作として『死の床に横たわりて』が真っ先に紹介されることは少ないが、作品の出来栄えから言えば、フォークナーのみならず、「意識の流れ」を採用した作品の中でも代表的なものとみなすことができるはずだ。
各々の登場人物の意識の断片が見事につなぎ合わされている『死の床に横たわりて』は、最初から最後までリズミカルに進行していき、結末もまた秀逸ときている。
新品での入手が困難な作品ではあるが、なかなか読みごたえのある一冊なので、フォークナーに関心のある読者はぜひ本書を手にしていただければと思う。
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