『バルザック芸術/狂気小説選集〈1〉知られざる傑作 他』 バルザック(水声社)

バルザック芸術/狂気小説選集〈1〉知られざる傑作 他―絵画と狂気篇 (バルザック芸術/狂気小説選集 1 絵画と狂気篇)バルザック芸術/狂気小説選集〈1〉知られざる傑作 他―絵画と狂気篇 (バルザック芸術/狂気小説選集 1 絵画と狂気篇)
(2010/06)
オノレ・ド バルザック

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書名:バルザック芸術/狂気小説選集〈1〉知られざる傑作 他―絵画と狂気篇
著者:オノレ・ド・バルザック
訳者:私市保彦,芳川泰久,澤田肇,片桐祐,奥田恭士,佐野栄一
出版社:水声社
ページ数:330

おすすめ度:★★★★




水声社から全4冊で刊行された『バルザック芸術/狂気小説選集』の第一巻。
表題にもあるように、『知られざる傑作』を含む「絵画と狂気」をテーマにした6編を収めているという体裁だが、『知られざる傑作』はともかく、中には画家が主人公というだけの話もあるし、絵画的描写とは言えても絵画とほぼ無関係な短編も収録されているから、必ずしも「絵画と狂気」という副題が適切であるようには思えない。
とはいっても、『知られざる傑作』はそれこそよく知られた傑作であるし、読み応えのある短編を集めているのでお勧めできる。
ゴプセック・毬打つ猫の店 (岩波文庫)ゴプセック・毬打つ猫の店 (岩波文庫)
(2009/02/17)
バルザック

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『バルザック芸術/狂気小説選集〈1〉』は、『知られざる傑作』の他に、『毬打つ猫の店』、『財布』、『ピエール・グラスー』、『海辺の悲劇』、『柘榴屋敷』が収められている。
人間喜劇の冒頭を飾る『毬打つ猫の店』は、ゴプセックを収めた『金融小説名篇集』でも紹介したが、右の岩波文庫版でも読むことができる。
バルザックの思い出を反映しているとされる『柘榴屋敷』は、研究者を喜ばせるかもしれないが、一般の読者が喜ぶかというと少々疑問だ。
この中で言えば、しっかりと落ちのついている『財布』が最も一般受けするように思う。
バルザックのうんちくも最小限に抑えられているし、O・ヘンリを思わせる落ちも秀逸だ。

とはいえ、最大の読みどころはやはり『知られざる傑作』だろう。
同じ芸術家小説でも、音楽家を扱った『ガンバラ』はバルザックの音楽論が長々と展開され、中にはそれに辟易する読者もいるだろうが、『知られざる傑作』の絵画論はまだしもコンパクトでわかりやすい。
まして登場人物の一人、若き青年の名前がニコラ・プーサンという名前で、しかも時代が17世紀初頭に設定されているとあっては、西洋絵画が好きな人であれば物語への興味も倍増せずにはいられない。
衝撃的な終幕も印象的で、一読すればバルザックの代表作にその名が挙がるゆえんを察していただけることと思う。
知られざる傑作―他五篇 (岩波文庫)知られざる傑作―他五篇 (岩波文庫)
(1965/01)
バルザック

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『知られざる傑作』は、水野亮先生の翻訳が岩波文庫からも出版されている。
表題作の他に5編を収めた短編集だが、これには偶然にも『柘榴屋敷』も入っている。
再版を重ね続けているので入手は比較的たやすいほうなので、訳文の古さや文字の小ささなど若干の不都合はあるかもしれないけれども、『知られざる傑作』を手軽に楽しまれたい方にはこちらの文庫版がお勧めだ。
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