『王妃マルゴ』 デュマ(河出文庫)

王妃マルゴ〈上〉 (河出文庫)王妃マルゴ〈上〉 (河出文庫)王妃マルゴ〈下〉 (河出文庫)王妃マルゴ〈下〉 (河出文庫)

書名:王妃マルゴ
著者:アレクサンドル・デュマ
訳者:榊原 晃三
出版社:河出書房新社
ページ数:395(上)、384(下)

おすすめ度:★★★★




アレクサンドル・デュマの歴史小説の中で高い評価を受けているのがこの『王妃マルゴ』である。
舞台は陰謀渦巻く宗教戦争時代のフランス宮廷、しかも聖バルテルミーの虐殺という歴史上きわめて悪名高い事件を背景としているというのもあって、読者の注意がそらされる隙はない。
緊迫感の途切れることないあらすじに引きずられていつの間にか巻末に達してしまうという、デュマならではの作品となっているので、デュマに興味のある方には必読の作品と言えるのではなかろうか。

フランス王シャルル9世の妹である「マルゴ」ことマルグリットは、プロテスタントのアンリ・ド・ナヴァールと政略結婚をさせられる。
プロテスタントへの反感や迫害が強まる中、カトリックたちはパリで血なまぐさい陰謀を巡らしており・・・。
水面下で常に何かが進行している宮廷やパリの街は、やはり読者にとって刺激的なものである。
悪女として圧倒的な存在感を放つカトリーヌ・ド・メディシスがもたらす陰影も、要所要所で作品を引き締めてくれることだろう。

本書はタイトルこそ『王妃マルゴ』であるが、必ずしもマルゴが最初から最後まで活躍し続けているわけではない。
物語の主筋はシャルル9世とアンリ・ド・ナヴァールを中心とした政治的駆け引きであるとも読めるし、マルゴを中心としたロマンスであるとも読むことができるが、その二つの絡まりあいが鮮やかな歴史絵巻を形作っているというのが最も穿った見方なのかもしれない。

上下二分冊で訳出されているこの『王妃マルゴ』は決して文章量が少ないわけではないが、解説によると縮約版を翻訳したもの、すなわち抄訳らしい。
そうと知ると全訳を手にしたくなるのが読書家の常であるが、河出文庫版に物足りなさを感じる読者は少ないのではないかと思う。
流通量は多くないが、質には太鼓判を押せるので、是非一読をお勧めしたい。
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