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『オノリーヌ』 バルザック(ちくま文庫)

オノリーヌ: バルザック・コレクション (ちくま文庫)オノリーヌ: バルザック・コレクション (ちくま文庫)

書名:オノリーヌ
著者:オノレ・ド・バルザック
訳者:大矢 タカヤス
出版社:筑摩書房
ページ数:351

おすすめ度:★★★★




「人間喜劇」の「私生活情景」から三編の中編小説を訳出したのが本書『オノリーヌ』である。
表題作の『オノリーヌ』に加えて『二重の家庭』と『捨てられた女』を収録しており、いずれの作品も不幸な結婚生活をテーマとしているという点で非常に統一感のある一冊になっている。
そうは言っても、それぞれの作品での切り口がまったく異なるので、読者がテーマの重複にうんざりする可能性はないように思う。

心に克服しきれずにいる闇を抱えている伯爵の過去と現在を扱った『オノリーヌ』。
タイトルそのままであるが、裕福な伯爵が己の幸福を実現させるべく第二の家庭を築いた『二重の家庭』。
社会的に重要な地位を占めている伯爵を物語の中心人物に据えているという共通点はあるが、それぞれの伯爵が置かれている境遇が正反対と言ってもいいほど違うため、まったく別の作品世界が形作られているという印象を受ける。
バルザックの作品をよく知る読者であれば、いかにもバルザックが好みそうな結末のつけ方にほくそ笑むことにもなるのではなかろうか。

『捨てられた女』は、パリの社交界に花形として君臨しながらも、恋に破れて田舎に隠棲することになった夫人のその後を描いている。
あらすじそのものにさほどの新奇さは感じられないが、筆の運びは巧みなものであるし、「人間喜劇」における人物再登場はやはり読者を楽しませるに違いない。

本書『オノリーヌ』には、「人間喜劇」の中で比較的読みやすい部類に入る「私生活情景」から収録作品が選ばれているために、読者を選ぶことがそれだけ少ないのではなかろうか。
偏りや歪みのある精神を描いているところはきわめてバルザックらしいと言えるし、バルザックに興味のある方ならば是非一読いただければと思う。
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