『王妃の首飾り』 デュマ(創元推理文庫)

王妃の首飾り 上 (創元推理文庫)王妃の首飾り 上 (創元推理文庫)王妃の首飾り 下 (創元推理文庫 512-3)王妃の首飾り 下 (創元推理文庫 512-3)

書名:王妃の首飾り
著者:アレクサンドル・デュマ
訳者:大久保 和郎
出版社:東京創元社
ページ数:626(上)、621(下)

おすすめ度:★★★★




アレクサンドル・デュマの長編小説の中で、『三銃士』や『モンテ・クリスト伯』に次いで人気の高いものの一つがこの『王妃の首飾り』である。
「王妃」というのが他でもないマリ=アントワネットを指しているため、デュマの歴史小説の中でも日本の読者に受け入れられやすいというのが本書の特徴ではないかと思う。

『王妃の首飾り』の舞台はヴェルサイユ宮殿から窮乏にあえぐパリの場末にまで及ぶ。
不遇の身で野心を燃やす夫人や、神出鬼没のカリオストロ伯爵といった強い個性を持った人々の暗躍も作品世界に見事な陰影をもたらしてくれている。
本書のタイトルが『王妃の首飾り』であるとはいっても、史実でもある首飾り事件にのみ焦点を当てて物語が進むわけではなく、デュマならではの右に左に転々とする書き方がなされている。
その蛇行にじれったさを覚える読者もいるかもしれないが、それぞれの話が読者を引き付ける魅力を備えていることもまた事実ではなかろうか。

贅沢三昧をして国民の反感を買い、フランス革命を誘発したと紹介されることもあるマリ=アントワネットだが、『王妃の首飾り』を読んでその言動に接すれば、デュマの創作に過ぎないとわかってはいても、彼女に対する印象が大きく様変わりすることは間違いないだろう。
誰もが知っているルイ16世とマリ=アントワネットの行く末を思い起こしながら読むと、『王妃の首飾り』はどこか悲壮な雰囲気すら帯びかねないが、それも本書に特有の味わいの一つなのかもしれない。

例によって『王妃の首飾り』も連作の一部なのだが、上巻の巻頭に前作のあらすじを載せてくれているので、『王妃の首飾り』だけを読んでも十分楽しむことができる。
全体に会話部分が多く非常に読みやすい作品なので、総ページ数に尻込みすることなく読み始めていただければと思う。
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