『ピョートル大帝のエチオピア人』 プーシキン(明窓出版)

ピョートル大帝のエチオピア人ピョートル大帝のエチオピア人

書名:ピョートル大帝のエチオピア人
著者:アレクサンドル・プーシキン
訳者:安井祥祐
出版社:明窓出版
ページ数:134

おすすめ度:★★★☆☆




若くして命を落とすことになったプーシキンによる未完の小説作品の一つがこの『ピョートル大帝のエチオピア人』である。
その業績をどう評価するかは別としても、ピョートル大帝がロシアの歴史における傑出した人物であることは間違いなく、そのような偉人をプーシキンが取り扱ったとあれば、読者の興味はおのずとかき立てられずにはいないのではなかろうか。

『ピョートル大帝のエチオピア人』の主人公は、タイトルそのままにエチオピア人、すなわちアフリカ人である。
ヨーロッパ人としての気質を備え、ピョートルの寵愛も受けてはいるが、肌の色の違う人種はやはりヨーロッパの上流社会で異色の存在でしかありえない。
旧制度の名残りと急激な西欧化の推進が入り混じるロシアにおいても、彼の立場は微妙なものとなっており・・・。
プーシキンが書き上げた決定稿ではないからか、全般に『ピョートル大帝のエチオピア人』における登場人物の心理描写はかなり粗削りである。
読者の想像力に委ねられる部分が少なくないが、それでも容易に推測できる場合がほとんどなので、大半の読者の心には何かしら響くものがあるに違いない。

未完の作品である『ピョートル大帝のエチオピア人』は、文章量からいえば短編小説程度のボリュームで、なおかつ非常に読みやすい文章で書かれているので、興味を覚えた方は気軽に手にしていただければと思う。
そうはいうものの、本書の残念なところは、誤植の多さが目に余り、プーシキンの作品へのイメージまで損なっているように感じられる点だ。
あまり翻訳紹介されることのない作品を世に問うてくれるのは非常にありがたいのだが、ある程度の質を伴った出版物を期待したい。
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