『大コフタ』 ゲーテ(鴎出版)

喜劇大コフタ喜劇大コフタ

書名:大コフタ
著者:ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
訳者:森 淑仁
出版社:鴎出版
ページ数:217

おすすめ度:★★★☆☆




ゲーテの翻訳作品の中では珍しい喜劇作品がこの『大コフタ』である。
フランス革命を誘発したと言われている「首飾り事件」を背景に、稀代のペテン師カリオストロ伯爵の生き写しである登場人物が暗躍するという、ゲーテが同時代のフランスに題材を求めた作品となっている。
あらすじに平易とは言い難い部分もあるにせよ、軽妙なテンポで進んでいく戯曲なので、気軽に手にしていただければと思う。

不可思議な知力と霊力で人々を魅了し続ける伯爵は、出会う人々の多くを弟子として従えていた。
そんな伯爵がエジプトから全知の存在である「大コフタ」の到来を告げたものだから、人々の期待は一気に高まってしまい・・・。
伯爵自身の思惑はもちろんのこと、伯爵に心酔する者、伯爵を心底では馬鹿にし利用することしか考えていない者などが入り混じり、『大コフタ』に描かれる人間模様はカラフルと言ってもいいぐらいだ。

喜劇に分類されている『大コフタ』だが、さらっと読み流してしまうとゲーテが仕込んだ滑稽味をあまり感じ取ることができないかもしれない。
一行一行を熟読とまでは言わないまでも、要所を押さえた味読をお勧めしたい。

解説にも触れられているとおり、『大コフタ』はゲーテの作品の中では失敗作であるという位置付けをされてきた作品である。
解説では『大コフタ』の意義をいろいろと述べてくれてはいるが、そのような理論的な意義付けがなくとも、ゲーテのような偉大な作家の場合、失敗作でも読む価値はあるだろうし、むしろ一般に失敗作と言われている作品だからこそ読みたくなるという読者もいるのではなかろうか。
ゲーテに興味のある方であれば、『大コフタ』が本当に失敗作なのかどうか、ご自身で判断いただけるのではないかと思う。
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