『ソーの舞踏会』 バルザック(ちくま文庫)

ソーの舞踏会: バルザックコレクション (ちくま文庫)ソーの舞踏会: バルザックコレクション (ちくま文庫)

書名:ソーの舞踏会
著者:オノレ・ド・バルザック
訳者:柏木 隆雄
出版社:筑摩書房
ページ数:474

おすすめ度:★★★★




人間喜劇の「私生活情景」に属する三つの作品を訳出したのが本書『ソーの舞踏会』である。
表題作の他に『夫婦財産契約』と『禁治産』を収録しており、いずれも結婚と財産をテーマにしている作品なので、収録作品に非常に統一感がある本になっている。
人間喜劇からの訳出ということで作品の質には折り紙付きということもあり、バルザックに興味のある方であれば必読の一冊と言えるのではなかろうか。

高慢に育った名家の娘が婿探しをするが、婿に対する注文が贅沢すぎてなかなか自分にふさわしい相手が見つからない。
そんな彼女が、ソーの舞踏会で完璧な青年を見つける、というのが『ソーの舞踏会』。
あとはその青年が貴族の血を引いてさえいればいいのだが・・・。

『夫婦財産契約』は、公証人を巻き込んで行われる結婚後の夫婦財産に関する駆け引きが面白い。
およそ200ページという紙幅が割かれているだけあって、本書の中では登場人物の腹黒さや愚かさなどといった心理や精神が最も克明に描き出されている作品となっている。

個人的には本書の収録作品の中で最も気に入っているのが、パリの社交界の花形である侯爵夫人が夫である侯爵を狂っているとして禁治産処分にするための訴えを起こすという『禁治産』だ。
人間喜劇に頻出の人物が数多く登場、もしくは言及されるし、ミステリー風とも呼べるようなストーリー展開は読者の心をつかんで最後の一ページまで離さずにいるに違いない。

本書『ソーの舞踏会』は、訳注が非常に充実しているのが特徴となっているが、ひょっとすると少し充実させ過ぎているかもしれない。
バルザックの筆の勢いを体感するためには、訳注に構わず読み進めていくというのも一つの手だと思う。
とはいうものの、バルザックのファンであれば、どのような読み方をしても本書に満足することは間違いないだろう。
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