『リトル・ドリット』 ディケンズ(ちくま文庫)

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リトル・ドリット〈4〉 (ちくま文庫)リトル・ドリット〈4〉 (ちくま文庫)

書名:リトル・ドリット
著者:チャールズ・ディケンズ
訳者:小池 滋
出版社:筑摩書房
ページ数:401(一)、383(二)、409(三)、371(四)

おすすめ度:★★★★★




ディケンズの中期作品の一つである『リトル・ドリット』は、ロンドンのマーシャルシー債務者監獄というディケンズ自身にとっても忘れがたい場所を主な舞台に据えた作品である。
ディケンズならではのユーモアとペーソスはもちろん、社会風刺にミステリーの要素なども交えた、読み応え十分な作品になっている。

中国帰りのアーサー・クレナムが久しぶりに疎遠だった母の元へ戻ると、監獄で生まれ育つという恵まれない境遇にもかかわらず清い心を失わないでいる「リトル・ドリット」に出会う。
ドリット一家、クレナム一家を中心に物語が進んでいく中で、素性の怪しい紳士が暗躍を始め・・・。
しばしば描かれる美しい心情の発露はやはり読んでいて気持ちが良いものだし、ディケンズならではの誇張をもって戯画化された登場人物の醸し出すおかしみも健在なので、『リトル・ドリット』はいろいろな角度から読者を楽しませてくれることだろう。

ストーリー展開にディケンズお得意の行き当たりばったりさも感じられる『リトル・ドリット』は、それだけ登場人物も多く、ある程度一気に読まないと誰が誰だかわからなくなることもあり得るだろうが、途中で行き詰ってしまう作品ではないため、時間の都合さえつけば存分に楽しめるに違いない。
また、カフカを想起させるような遅々として進まないお役所仕事の描写や、ジョイスの先駆けとも言える句読点なしの文体が垣間見られるのも、本書の非常に興味深い点かもしれない。
リトル・ドリット 全4巻リトル・ドリット 全4巻

ディケンズ中期以降の作品の特徴として構成への配慮が挙げられるが、この『リトル・ドリット』にしても、個別のエピソードが乱立しているかのようでありながら全体の枠組みには確固たるものがあるので、『リトル・ドリット』の良し悪しを判別するのはやはり全巻を読み通してからにすべきではなかろうか。
オリヴァ・ツウィスト』や『デイヴィッド・コパフィールド』ほどの知名度や完成度はないかもしれないが、ディケンズのファンには強くお勧めしたい作品だ。
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