『アメリカ残酷物語』 ジャック・ロンドン(新樹社)

アメリカ残酷物語アメリカ残酷物語

書名:アメリカ残酷物語
著者:ジャック・ロンドン
訳者:辻井 栄滋
出版社:新樹社
ページ数:166

おすすめ度:★★★★




ジャック・ロンドンの短編作品の中から、血の気の多い作品を集めた短編集が本書『アメリカ残酷物語』である。
そもそもロンドンの短編作品には秀逸な落ちのついているものが多いが、本書はさらにプロットの面白さに重点を置いて作品を選んでいるようなので、ストーリーの面白さは折り紙付きと言っていいかもしれない。

『アメリカ残酷物語』には『まん丸顔』、『影と光』、『豹使いの男の話』、『「ただの肉」』、『恥さらし』、『支那人』、『「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」』の七編が収録されている。
『まん丸顔』と『豹使いの男の話』などは、ポーを思い起こさせるようなミステリー風の小品で、彼の作品をけっこう読んでいる読者であってもロンドンの新しい一面に触れることができるのではなかろうか。
収録作品はどれも読みやすいものばかりなので、ストーリーテラーとしてのロンドンの手腕を再確認させられることだろう。

本書の欠点を挙げるとすれば、他の短編集との重複作品が多いため、既にロンドンの短編集を何冊か読まれた方はあまり楽しめないかもしれないということだ。
しかし、裏を返せば、『影と光』や『恥さらし』のように何種類もの短編集に収録されている作品はそれだけ人気もあり優れてもいるのが確実というわけで、それらはロンドンの短編として必読の作品と言えるだろう。
ロンドンの短編集を一冊だけ選ぶ場合に、そのような必読の作品を複数収めた本書を選んだとすれば、悪くない選択をしたことになることになるはずだ。

『アメリカ残酷物語』というタイトルの本の収録作品は、どれもきっと残酷な終わり方をするのだろうという予感が読者の側にあるにもかかわらず、それぞれの作品でロンドンのつける結末は十二分に読者を楽しませてくれる。
ロンドンの短編作品に興味のある方にはお勧めの一冊だ。
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