『赤い館の騎士』 デュマ(ブッキング)

赤い館の騎士赤い館の騎士

書名:赤い館の騎士
著者:アレクサンドル・デュマ
訳者:鈴木 豊
出版社:ブッキング
ページ数:686

おすすめ度:★★★★




不運にして日本ではそれほどの知名度がないものの、デュマの代表作の一つと目されている歴史小説が本書『赤い館の騎士』である。
三銃士』や『モンテ・クリスト伯』と同時期に書かれた作品であると言えば、そのクオリティには太鼓判を押したことになるだろうか。
本書の副題である「マリー・アントワネットを救え!」から予想できるかもしれないが、描かれている舞台はマリー・アントワネットが囚われの身となっている大革命後のパリであり、デュマの作品の時代順でいえば『王妃の首飾り』に続く物語ということになる。

特権階級を徹底的に排除しようとする過度の愛国の機運が高まっているパリにおいて、「メーゾン・ルージュの騎士」と称される男が、厳重に警備されているマリー・アントワネットを救出しようと決死の陰謀を企んでいた。
共和主義者の兵士であるモオリスとその親友ローランも、いつしかその陰謀の渦に巻き込まれてしまい・・・。
読者はみな、マリー・アントワネットの救出が失敗に終わり、あえなく断頭台で散るという結末を知っているが、それでもやはりデュマの筆の勢いは読者を楽しませ続け、気付けば最終章に至っていることだろう。
二都物語 (上巻) (新潮文庫)二都物語 (上巻) (新潮文庫)

同時代のパリを描いた作品としては、フランスの作家によるものではないものの、チャールズ・ディケンズの『二都物語』を紹介しておきたい。
似たような状況を扱っているからこそ、デュマとディケンズの似ているところと異なっているところとをひしひしと感じながら読むことができるように思う。

『赤い館の騎士』の中には、登場人物たちの思惑通りにうまく行き過ぎている観のある箇所がいくつかあり、そういう意味では細部の詰めが少々甘い作品と言えるかもしれない。
そうはいっても、そのことが緊張感に富んだ激動の時代を読み進める我々の楽しみをそれほど妨げるわけでもないので、デュマに興味のある方のみならず、歴史小説を好むすべての方に『赤い館の騎士』の一読をお勧めしたいと思う。
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