『スケッチ・ブック』 アーヴィング (岩波文庫)

スケッチ・ブック(上) (岩波文庫)スケッチ・ブック(上) (岩波文庫)スケッチ・ブック(下) (岩波文庫)スケッチ・ブック(下) (岩波文庫)

書名:スケッチ・ブック
著者:ワシントン・アーヴィング
訳者: 齊藤 昇
出版社:岩波書店
ページ数:393(上)、455(下)

おすすめ度:★★★★




アーヴィングの文名を高からしめた出世作であると同時に、彼の最も代表的な作品とされるのが本書『スケッチ・ブック』である。
エッセイあり、伝説ありと、バラエティに富んだ様々な風景を収めたまさに「スケッチ・ブック」であり、要は一つの書物としてのまとまりはあまりないのだが、むしろその自由奔放で伸びやかな雰囲気が魅力の源になっているという作品だ。

徒然なるままに書かれた雑記帳の『スケッチ・ブック』ではあるが、イギリスでの出来事、特に田舎での体験を描いた部分が多く、あたかもアーヴィングによるイギリス紀行のような観すら呈しているというのが実情である。
それらの中でも、イギリス紳士の家庭でのクリスマスをテーマとした連作は特に優れていて、これが後の傑作『ブレイスブリッジ邸』を生む源になったというのもうなずける話だ。
スリーピー・ホロウ <コレクタ-ズ・エディション> [DVD]スリーピー・ホロウ <コレクタ-ズ・エディション> [DVD]

『スケッチ・ブック』の中で有名なエピソードといえば、上巻に収録されている「リップ・ヴァン・ウィンクル」と、下巻に収録されている「スリーピー・ホローの伝説」だろう。
特に後者の「スリーピー・ホローの伝説」は、右に挙げるジョニー・デップ主演の映画『スリーピー・ホロウ』によって日本でも一気にその地名が知られたのではなかろうか。
とはいえ内容的な関連性は少なめなので、あまり映画のほうを意識して読むと失望するかもしれない。

『スケッチ・ブック』に収められているエピソードには、死者や葬儀を扱うものの割合が高く、読者の哀愁を誘いすぎる傾向があるようにも感じられる。
しかし、哀愁を誘う筆致はアーヴィングの文章の特徴と言ってもいい点である。
あまり深いことを考えずに、素直にアーヴィングの誘いに応じ、哀愁に身を委ねてみるのが本書の王道的な楽しみ方なのかもしれない。
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

カテゴリ
PR
最新記事
RSSリンク