『ウォルター・スコット邸訪問記』 アーヴィング (岩波文庫)

ウォルター・スコット邸訪問記 (岩波文庫)ウォルター・スコット邸訪問記 (岩波文庫)

書名:ウォルター・スコット邸訪問記
著者:ワシントン・アーヴィング
訳者:齊藤 昇
出版社:岩波書店
ページ数:179

おすすめ度:★★★★




アーヴィングがスコットランドに文豪スコットの屋敷を訪ねた際の体験を思い起こして書かれたのが本書『ウォルター・スコット邸訪問記』である。
著名な作家二人の交流の様子を記した本書は、アーヴィングに関心のある方にもスコットのファンの方にもたいへん興味深い内容になっている。

本書の原題は"Abbotsford"で、これはスコットが田舎に構えるアボッツフォード邸を指している。
そこを紹介状を携えた新進作家であるアーヴィングが訪れるのである。
アーヴィングは本書においてスコットの人柄を称揚することに終始しているようだが、アーヴィングの描くスコット像を読んでいる限り、やはりスコットは手放しの称賛に値する素晴らしい人柄を備えているように感じられる。
自然を愛し、伝説を好み、歴史を尊び、家庭を大事にするのはもちろん使用人への配慮も怠らないというのだから、作家として、また人としての難点がほとんど見当たらないというのもだ。

『ウォルター・スコット邸訪問記』を手にする前に、読者には事前に何でもよいのでスコットの作品を読んでおくことをお勧めしたい。
そうは言っても、あれほど一世を風靡した作家であるにもかかわらず、スコットは残念なことに翻訳出版の状況が芳しくない作家の一人である。
それにしても、今日の読者も楽しめるストーリー性の強い小説を多く書いた人気作家の作品が等閑視されているというのは何とも不思議な話だ。

スコットが膨大な時間とお金を費やして改築させた豪壮なアボッツフォード邸は今も残っていて、スコットの邸宅として一般公開されている。
『ウォルター・スコット邸訪問記』を片手にそこを訪れることができれば、アーヴィングが受けた感銘の十分の一でも味わうことができるのかもしれない。
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