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『大渦巻への落下・灯台』 エドガー・アラン・ポー(新潮文庫)

大渦巻への落下・灯台: ポー短編集III SF&ファンタジー編 (新潮文庫)大渦巻への落下・灯台: ポー短編集III SF&ファンタジー編 (新潮文庫)

書名:大渦巻への落下・灯台: ポー短編集III SF&ファンタジー編
著者:エドガー・アラン・ポー
訳者:巽 孝之
出版社:新潮社
ページ数:241

おすすめ度:★★★★




表題作を含むポーの短編七編を収録しているのが本書『大渦巻への落下・灯台』である。
厳密な意味合いで言うと「SF&ファンタジー編」という副題から逸れる作品もあるような気がしてしまうし、ポーを初めて読む方に真っ先にお勧めしたい一冊というほどでもないのだが、個々の作品の質の高さのおかげで、ポーに関心のある読者の期待を十分に満たしてくれる短編集にはなっていると思う。

本書は表題作である『大渦巻への落下』と『灯台』の他に、『使い切った男』、『タール博士とフェザー教授の療法』、『メルツェルのチェス・プレイヤー』、『メロンタ・タウタ』、『アルンハイムの地所』を収録している。
実在するメールシュトレームの渦潮を扱った『大渦巻への落下』は秀逸かつ有名な作品であり、渦潮の規模に対して随分と誇張が見られるとはいえ、SF作品としての面白さには文句のつけようがない。
精神病院を舞台とした『タール博士とフェザー教授の療法』も、ポーが執筆していた時代を考え合わせれば、大いに先進的な作品だと言えるだろう。

本書の中では『メルツェルのチェス・プレイヤー』と『灯台』が少々異色な作品となっている。
前者は実在の自動機械に関するノンフィクションの論考であるし、後者はポーの未完の遺作であり、その書き出しからは尋常ならざる展開を予想させるものの、残念なことに4ページであっけなく終わってしまう。
これらの二作品に関しては、楽しめる読者が少し限られるかもしれない。

本書の収録作品は全般に『黒猫』や『モルグ街の殺人』などと比べると知名度の点では格段に劣るが、それだけ出来栄えも劣るのかというとそうではない。
特に『大渦巻への落下』や『アルンハイムの地所』あたりは、過去に文学全集のポーの巻でお目にかかることがあった程のもので、かねてより評価は高かったはずである。
新刊の珍しい新潮文庫の海外古典作品に選ばれるにはやはりそれなりの理由があるのであって、本書はポーに興味のある方ならば確実に楽しめる一冊と言えるだろう。
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