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『水車小屋攻撃』 エミール・ゾラ(岩波文庫)


書名:水車小屋攻撃
著者:エミール・ゾラ
訳者:朝比奈弘治
出版社:岩波書店
ページ数:348

おすすめ度:★★★★




表題作を含む八編の短編作品を収録したゾラの短編集が本書『水車小屋攻撃』である。
戦争をテーマにしたもの、フランス文学の伝統に則ったコミカルなもの、幽霊譚めいたものもあれば、数ページに過ぎない小品もあるといった風に、ゾラの短編世界を多角的に楽しむことができる構成になっており、ゾラに興味のある方にはお勧めの一冊だ。

本書には『水車小屋攻撃』の他、『小さな村』、『シャーブル氏の貝』、『周遊旅行』、『ジャック・ダムール』、『一夜の愛のために』、『ある農夫の死』、『アンジュリーヌ』が訳出されている。
『水車小屋攻撃』は、普仏戦争の戦場と化した名もなき村を舞台に展開される愛と闘いの物語で、人を非人間的な行為に駆り立ててしまう戦争というものに対する痛烈な皮肉にもなっている。
パリ・コミューンに参加し、流刑となった男のその後を語る『ジャック・ダムール』も、広い意味では同系列の作品と言えるだろうか。
ストーリー展開は少々ありきたりではあるが、それでも面白く読めてしまうあたりにゾラの手腕を垣間見る気がする。

『シャーブル氏の貝』と『アンジュリーヌ』は光文社古典新訳文庫の『オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家』にも収録されており、いずれもゾラの短編作品の中では代表的なものとされているようだ。
個人的には、テーマが『壊滅』につながる『水車小屋攻撃』が最も気に入っているが、様々な毛色の作品を収めた本書を読めば、読者はきっとそれぞれお気に入りの作品が見つかるのではないかと思う。

これまであまり注目されることがなかったゾラの短編作品だが、今年は偶然にも光文社古典新訳文庫から『オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家』が、そして岩波文庫から本書『水車小屋攻撃』が相次いで出版されるという、ゾラのファンにはうれしい一年となった。
これらの短編集を手にした方であれば、これまでゾラの短編作品が注目を浴びてこなかったのは、ゾラの短編が面白くないからというわけではなく、単に翻訳紹介される機会がなかっただけに過ぎないのだと納得いただけるように思う。
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