『四角い卵』 サキ(サキ・コレクション)

四角い卵 (サキ・コレクション)四角い卵 (サキ・コレクション)

書名:四角い卵
著者:サキ
訳者:井伊 順彦、今村 楯夫 他
出版社:風濤社
ページ数:187

おすすめ度:★★★★




レジナルド』に引き続き、風濤社から出されたサキ・コレクションの二冊目が本書『四角い卵』である。
本書にはサキ後期作品が収録されており、大半は死後出版となった短編集である『平和の玩具』と『四角い卵』から選ばれている。
訳文のうまさが感じ取れるような仕上がりだとなおありがたいというのが正直なところではあるが、サキの作品の面白さが十分伝わってくるのは間違いないだろう。

本書には『四角い卵』を含む12の短編作品が収められていて、その中に短編小説とは言えないエッセイも含まれているのが特徴的である。
一冊の本として、『レジナルド』のような統一感はないが、『ミセス・ペンサビーは特例』や『祝典式次第』といった作品を通じて、読者はサキならではの女性観に裏打ちされたブラックユーモアに出会うのはもちろん、戦争を背景とする『四角い卵』や『西部戦線の鳥たち』では一抹の悲壮感にさえ遭遇することになる。

本書の収録作品のうち、『平和の玩具』から選ばれた作品はこれまで通りのサキといった感じがするが、『四角い卵』から選ばれた収録作品には、全体的にやや政治色が濃いという傾向が見られる。
サキの作風にも当然ながら第一次世界大戦が影を落としているということなのだろう。
一兵卒としてフランス戦線に赴き、そしてそこでサキが戦死したという事実を知ってしまうと、戦争を背景とする作品の持つ重みが読者の心にずしりと伝わる。
そんな気がするのは私だけではないはずだ。

本書『四角い卵』の特徴は、先ほども述べたように収録作品の与える印象の幅広さだと思う。
いささか玄人向けの気がしないでもないので、サキを知らない読者が『四角い卵』からサキを読み始めるよりは、『サキ傑作集』、『クローヴィス物語』などを経て最終的に『四角い卵』にたどり着くように順を追って読み進めることをお勧めしたい。
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