『モンソローの奥方』 デュマ(日本図書刊行会)

モンソローの奥方モンソローの奥方

書名:モンソローの奥方
著者:アレクサンドル・デュマ
訳者:小川 節子
出版社:日本図書刊行会
ページ数:662

おすすめ度:★★★★




それほど有名ではないにもかかわらず単行本化されているという、デュマのファンにとってはありがたい長編小説がこの『モンソローの奥方』である。
言うまでもないことだろうが、この『モンソローの奥方』もデュマの他の作品と同様にストーリー性がきわめて強く、堅苦しいことは一切記されておらず、会話部分が主体となっているのですらすら読み進めることができる。

『モンソローの奥方』は、聖バルテルミーの虐殺後の政治上と宗教上での覇権争い、いわゆる三アンリの戦いを軸に据えた物語となっている。
当然ながら、デュマにとって史実は物語を構成するための単なる枠に過ぎず、物語のほうは陰謀あり、恋あり、友情あり、そして決闘ありという、いかにもデュマらしい精彩に富んだ作品に仕上がっている。
タイトルロールであるモンソローの奥方は、後半になると徐々に存在感が消えていくという不思議な役どころとなっているが、勇士として名高いビュッシーや王の道化であるシコといった主要人物は最後まで力強く描かれていて、読者を飽きさせないに違いない。

『モンソローの奥方』は、『王妃マルゴ』に始まる三部作の二作目という位置付けになっていて、事実、舞台とされる時代は連続している。
そうはいっても、『王妃マルゴ』との内容的な結び付きは弱く、話の筋に関しては何度か軽く言及される程度に止まっている。
王妃マルゴ』に引き続いて『モンソローの奥方』を読むほうがベターではあろうが、それが必須であるとは言えないように思う。

原文が悪いのか、訳文が悪いのか、あるいはその両方なのか、本書の中ではたまに主語が曖昧になっている箇所があるのが難点と言えば難点かもしれない。
また、中には600ページ超えというページ数の多さに尻込みされる方もいるかもしれない。
しかし、ストーリーの面白さを考慮に入れればそれらも大したことではないので、デュマに興味のある方は気軽に手にしていただければと思う。
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