『けだものと超けだもの』 サキ(白水Uブックス)

けだものと超けだもの (白水Uブックス)けだものと超けだもの (白水Uブックス)

書名:けだものと超けだもの
著者:サキ
訳者:和爾 桃子
出版社:白水社
ページ数:296

おすすめ度:★★★★★




クローヴィス物語』に続き、サキが生前に出版した代表的な短編集である『けだものと超けだもの』の全訳が本書である。
いろいろな種類の諧謔的ジョークやブラックユーモアに満ちたいかにもサキらしい作品集で、これを読んでサキを好きになれなければサキの作風は合わないと判断してもいいほど、典型的なサキの短編集と言えるのではないかと思う。

本書の収録作品には、幽霊や魔術といった超常現象をテーマとするもの、クローヴィスを主人公に据えたもの、社交生活におけるいたずらまがいのものなど、サキらしい主題の作品が絶妙に入り混じっている。
サキならではの毒のある機知があまりに心地よくて、本書を一気に読み通してしまう読者がいても何ら驚くことではないと思う。

本書のタイトルは、言うまでもないかもしれないが、バーナード・ショーの代表作である『人と超人』のパロディとなっている。
単にそれぞれの作品を味わうだけではなく、一歩進んだ鑑賞をしたいという方は、『けだものと超けだもの』というタイトルの持つ意味のみならず、そのパロディの意味を考察してみるのも面白いのではなかろうか。

サキの代表的な短編作品を多数収録している『けだものと超けだもの』からは、サキの選集を編む際に必然的に多くの作品が選ばれることになる。
そして事実、ちくま文庫の『ザ・ベスト・オブ・サキ』の読者にとっては、本書には目新しい短編作品は2編しかないという状況になってしまっている。
しかし、そのことこそが本書の収録作品の質の良さの証拠でもあるわけなので、これからサキを読み始めようという読者には、選集を手にするよりはむしろ『クローヴィス物語』と本書『けだものと超けだもの』から始めてみることをお勧めしたい。
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