『ゲーテとトルストイ』 トーマス・マン(岩波文庫)

ゲーテとトルストイ (岩波文庫)ゲーテとトルストイ (岩波文庫)

書名:ゲーテとトルストイ
著者:トーマス・マン
訳者:山崎 章甫、高橋 重臣
出版社:岩波書店
ページ数:240

おすすめ度:★★★☆☆




トーマス・マンが、ドイツとロシアを代表する文学史上の巨匠であるゲーテとトルストイについて論じたのが本書『ゲーテとトルストイ』である。
講演原稿とはいえ、マンが文学理論を200ページにわたって述べているわけなので、ところどころ話が抽象的な方面に進み、それなりに難解と思われる箇所もあるため、気軽に読める本を探している人にはあまりお勧めできない本だと思う。

共通点が少なそうなゲーテとトルストイではあるが、マンが提示する「自然」という観点から見ると、意外な共通点が数多く見えてくる。
マンの口ぶりに関して言えば、トルストイに対してはけっこう手厳しい気もするが、その反面、ゲーテには随分と甘いようだ。
これは『ゲーテを語る』にも見られた特徴だが、ゲーテを敬愛するあまり、マンはゲーテに対して苦言を呈することができないのかもしれない。

『ゲーテとトルストイ』を読むにあたっては、ゲーテとトルストイの代表作を読んだことがあるだけではなく、自伝的事実もいくらか知っておくほうがいいだろう。
また、ゲーテとトルストイの二人とは対照的な作家として、シラーとドストエフスキーについても多く語られているので、彼らについても読者が何らかの具体的なイメージを持っているほうが、より興味深く読み進めることができるに違いない。

『ゲーテとトルストイ』を理解するには、ある程度の基礎知識も必要となるし、執筆当時のヨーロッパ情勢に関するマンの思想展開もなされているので、そういう意味では本書は読者を選ぶ作品と言えそうだ。
しかし、平易ではなくても内容は非常に充実しているし、ゲーテとトルストイを論じるのにルソー、シラー、ドストエフスキーも登場するという豪華なキャスティングなので、欧米文学のファンなら一読の価値ある作品だと思う。
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