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『可愛い女・犬を連れた奥さん』 チェーホフ(岩波文庫)

可愛い女(ひと)・犬を連れた奥さん 他一編 (岩波文庫)可愛い女(ひと)・犬を連れた奥さん 他一編 (岩波文庫)

書名:可愛い女・犬を連れた奥さん 他一篇
著者:アントン・チェーホフ
訳者:神西 清
出版社:岩波書店
ページ数:144

おすすめ度:★★★★★




短編の名手としても名高いチェーホフの代表的短編作品を三編収めているのが本書『可愛い女・犬を連れた奥さん 他一篇』である。
ポーやモーパッサンの作品と違い、事件性が乏しい短編という、文学史に一つの流れを作り出したチェーホフの短編作品は、欧米文学に興味のある方であれば一度は読んでみるべきだろう。

『犬を連れた奥さん』は、保養地に現れた美しい婦人と、その婦人に目を付けた伊達男との関係性に焦点を当てた、いわゆる恋愛小説と言えようか。
確固たる自己というものを持たず、一人ではどうすることもできない女を描いた『可愛い女』も、最後の一ページまで一気に読ませてしまう魅力を持っている。
本書に収録されているもう一つの作品である『イオーヌィチ』、これは田舎医者を主人公に据えた作品であり、自らも医師であったチェーホフは医者をよく描く作家であるが、これもその一例とみなすことができるだろう。
かわいい女・犬を連れた奥さん (新潮文庫)かわいい女・犬を連れた奥さん (新潮文庫)

チェーホフの短編集は数多く出されてきているが、『かわいい女・犬を連れた奥さん』というタイトルの短編集は、新潮文庫からも出版されている。
チェーホフの短編小説を読むのに、個人的な趣味の問題もあって、私はすでに何冊も短編集が出されている岩波文庫を選んだが、『可愛い女・犬を連れた奥さん』に関して言えば、新潮文庫版のほうがその他の収録作品の数が多くてお得なので、こちらで読むのも悪くないかもしれない。

『犬を連れた奥さん』と『可愛い女』は、小説が完結していないという印象すら受けかねない作品なのだが、これらの作品から読者が受ける読後の印象こそが、チェーホフが短編小説で演出し続けた独特の余韻なのではなかろうか。
息詰まるような閉塞感や、何の希望もないような空虚さを覚える人々の悲哀を淡々と描いているようでいて、どこか心に優しく訴えかけるものも備えているというチェーホフならではの作風を、心行くまで味わっていただければと思う。
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