『馬のような名字 チェーホフ傑作選』 チェーホフ(河出文庫)

馬のような名字 チェーホフ傑作選 (河出文庫)馬のような名字 チェーホフ傑作選 (河出文庫)

書名:馬のような名字 チェーホフ傑作選
著者:アントン・チェーホフ
訳者:浦 雅春
出版社:河出書房新社
ページ数:341

おすすめ度:★★★★★




河出文庫から出された、「チェーホフ傑作選」と銘打ったチェーホフの短編集がこの『馬のような名字』である。
収録作品の制作年代も幅広く、質的なレベルも全般に高いので、「傑作選」の名に恥じない内容になっているように思う。

本書には『悪ふざけ』、『ロスチャイルドのバイオリン』、『箱に入った男』、『かわいいひと』といった比較的有名な短編作品16編に加えて、一幕物の喜劇である『結婚披露宴』と『創立記念日』も収録されている。
名前を思い出せそうで思い出せない『馬のような名字』、一度のくしゃみが思いがけない災難を呼ぶ『小役人の死』、不遇な少年が祖父に向けて切ない手紙をしたためる『ワーニカ』、19世紀ロシアのマリッジブルーを扱う『いいなずけ』などからは、チェーホフ文学の二大キーワードであるユーモアと哀愁を存分に味わうことができるだろう。
新訳 チェーホフ短篇集新訳 チェーホフ短篇集

最近出されたチェーホフの短編集には、右に挙げる集英社の『チェーホフ短編集』もある。
収録作品は『馬のような名字』と半分以上重複しているものの、こちらは各作品に解説が付されていて、それが作品理解を深める助けとなるというのが特徴である。
ただ、訳者がいちいち申し開きをしなければならないような冒険的な訳語選びに読者が付き合わされるという点に関しては、個人的にあまりいただけないと感じてはいるのだが。

本書『馬のような名字』の収録作品に何か傾向性のようなものが見受けられるとすれば、それはチェーホフのユーモアセンスの窺える作品が多いということだろうか。
また、それぞれの作品が短いものばかりなので、それだけ多くの作品に触れることができるというのも本書の長所と言える。
チェーホフらしさに事欠かない傑作の数々を、心行くまで楽しんでいただければと思う。
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