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『二人の若妻の手記』 バルザック(水声社)

二人の若妻の手記 (バルザック愛の葛藤・夢魔小説選集)二人の若妻の手記 (バルザック愛の葛藤・夢魔小説選集)

書名:二人の若妻の手記(バルザック愛の葛藤・夢魔小説選集)
著者:オノレ・ド・バルザック
訳者:加藤尚宏、芳川 泰久
出版社:水声社
ページ数:365

おすすめ度:★★★★




『二人の若妻の手記』は、バルザックにしては珍しい書簡体の長編小説である。
また、本書には短い作品ではあるが『女性研究』も収録されている。
300ページを超える『二人の若妻の手記』と、15ページに過ぎない『女性研究』とを一冊の本で組み合わせるというのは、一見アンバランスであるようだが、恋愛をテーマとして編まれたというこの小説選集の趣旨には沿っていると言えるだろう。

修道院で育てられていた二人の美しい娘が、修道院を出て家に戻る。
親の思惑もあって、それぞれ結婚を考えることになるのだったが・・・。
『二人の若妻の手記』とは言っても、作品を構成する書簡は二人の若妻が記したものだけではなく、スペインを追われた元公爵など、他の登場人物の手になる書簡もいくつか含まれている。
少々回りくどさを感じさせる文体もしばしば見られ、全体的にスピード感のある作品であるとは言い難い気がするが、それでも複数の視点による立体的な小説スタイルとしての書簡体小説の長所は存分に生かされている作品であると思われる。

『女性研究』のほうは、「人間喜劇」の中でも特に有名なラスティニャックを中心人物にしているというだけでも、バルザックファンの好奇心を十分くすぐるのではなかろうか。
構造も筋書きもシンプルこの上ない作品だが、要はラブレターの送り間違いをラスティニャックがどう乗り切るのかが見ものである。

『二人の若妻の手記』には、一つの段落が数ページにわたって続くというバルザックらしい文章が随所に見られ、お世辞にも読みやすいとは言えない作品というのが正直なところだ。
そうはいっても、バルザックが二つの対立的な視点から恋愛観を論じた作品としての興味は尽きないことだろう。
すでにバルザックを何冊も読んでいる方にお勧めしたい一冊だ。
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