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『人は成熟するにつれて若くなる』 ヘルマン・ヘッセ(草思社文庫)

文庫 人は成熟するにつれて若くなる (草思社文庫)文庫 人は成熟するにつれて若くなる (草思社文庫)

書名:人は成熟するにつれて若くなる
著者:ヘルマン・ヘッセ
訳者:岡田 朝雄
出版社:草思社
ページ数:250

おすすめ度:★★★★




85歳でその生涯を閉じたヘッセによるエッセイや詩を集めた詩文集がこの『人は成熟するにつれて若くなる』である。
本書はヘッセ自身が編纂したものではなく、『ヘッセの読書術』などと同様、ヘッセの研究者の一人であるミヒェルスがヘッセの作品をテーマに沿って編んだものの翻訳となっている。
表紙もその一例であるが、本書には写真が多数掲載されているので、晩年のヘッセとその暮らしのイメージを得やすいというのが本書の長所と言えるだろう。

本書の場合、内容に関する誤解を招きやすいタイトルになっているかもしれない。
「成熟するにつれて人はますます若くなる」というヘッセの書いた文言があるのは事実だが、本書の内容がすべてその逆説に沿って書かれているというわけではないからである。
どちらかといえば、死を親しく迎え入れる従容とした態度がヘッセの主な立脚点となっているという印象を受けるのは、おそらく私だけではないだろう。

一般的に、代表作の『車輪の下』や『デミアン』などが青年向けの作品であると言われがちのヘッセではあるが、本書『人は成熟するにつれて若くなる』は、その逆に年配の方へのメッセージ性が強い作品であると思われる。
私自身、老境に入るにはまだかなりの時間的ゆとりがあり、そういう意味では当事者として判断できているわけではないのだが、既に山あり谷ありの長い人生を経てきた方であれば、本書に描かているヘッセの心的態度に共感する点が数多く見つかるのではないかと私は想像している。

今は文庫本として出されている『人は成熟するにつれて若くなる』ではあるが、かつて単行本が出版された時には、けっこうな注目作品となったらしい。
ヘッセによる物柔らかな筆致の心地よさを備えた本書は、そのような注目にふさわしいものと言える。
若い頃にヘッセを読んでヘッセに興味を持っていて、さらに自身の成熟を感じる年頃に達した方にこそ、最も強くお勧めしたいと思う。
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