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『決闘・妻』 チェーホフ(岩波文庫)

決闘・妻 (岩波文庫)決闘・妻 (岩波文庫)

書名:決闘・妻
著者:アントン・チェーホフ
訳者:神西 清
出版社:岩波書店
ページ数:296

おすすめ度:★★★★




チェーホフの『決闘・妻』は、他の岩波文庫とは違って短編集ではなく、本書には表題作である二つの中編小説が収録されている。
いずれの作品にも結婚問題と「余計者」問題という、チェーホフと切り離すことのできないテーマが描かれており、チェーホフらしさは存分に発揮されていると言えるだろう。

200ページの紙幅が割かれている『決闘』には、駆け落ちを後悔していて倦怠から逃れられないでいる青年、そんな青年を軽蔑してやまない実際家の学者、鷹揚でお人好しの医者、退屈さからコケットリーに陥るヒロインなど、舞台を彩る役者は揃っている。
オネーギン』、『現代の英雄』以来、いわばロシア文学における正統イベントでありながら、当時すでに時代遅れだったはずの決闘をチェーホフがどう扱うのかが、なかなか興味深いところである。
また、結婚生活を揶揄することの多かったチェーホフが、崩壊寸前の夫婦関係を描いた『妻』も、別の意味で注目に値するだろう。
チェーホフ全集〈6〉 (ちくま文庫)チェーホフ全集〈6〉 (ちくま文庫)

岩波文庫の『決闘・妻』は、名訳者として名高い神西氏の翻訳ではあるが、初版が戦前であるため、仮名遣いが古いというのがデメリットである。
私自身は読んだことがないのだが、旧仮名遣いに抵抗のある方は、『決闘』はちくま文庫の全集で読んでみるのもいいかもしれない。
全集とはいえ手頃な価格で手に入るし、訳者も松下氏であれば間違いないだろう。

チェーホフの小説作品の中で最長と言われる『決闘』は、並々ならぬ意気込みをもって書き進められ、様々な逡巡と書き改めの末に生み出された作品らしい。
作家が苦心した作品が必ず面白いものであるとは限らないが、『決闘』の場合は読者に伝わりやすい形でその努力が結実しているようだ。
チェーホフに関心のある方であれば手にして損はない一冊だと思う。
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