『エドウィン・ドルードの謎』 チャールズ・ディケンズ(創元推理文庫)

エドウィン・ドルードの謎 (創元推理文庫)エドウィン・ドルードの謎 (創元推理文庫)
(1988/05)
チャールズ ディケンズ

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書名:エドウィン・ドルードの謎
著者:チャールズ・ディケンズ
訳者:小池 滋
出版社:東京創元社
ページ数:505

おすすめ度:★★★☆☆




ディケンズの絶筆がこの『エドウィン・ドルードの謎』で、ディケンズの他の作品の解説などでよく言及されているわりにはあまり一般に普及していないため、気にはなっているけれども読んだことがないという人も多いはずだ。
ディケンズの全作品中、殺人事件を主題にした最も推理小説的色合いの濃い作品にもかかわらず、謎解きがなされる前にディケンズは帰らぬ人となった。
「エドウィン・ドルードの謎」がまさしく謎のまま後世に残されたわけだ。

『エドウィン・ドルードの謎』は、新たな未知の人物、おそらくは探偵役を担うのであろう人物が登場したりと、まさにこれから話が面白くなっていくことを予感させる数章を最後に終わっている。
バーナビー・ラッジ』同様、それほど手の込んだミステリーではないので、たいていの読者は犯人を察することができるように書かれているが、研究者の間では諸説が飛び交っていて、中には殺人は未遂に終わったのではないかと推測している人もいるほどで、結局のところ、ディケンズがどういう結末を想定していたのかは推論の域を越え出ることがない。
読者は皆、言うなればディケンズの書き残した部分を自ら書き足さなければならない。
そしてこの作業こそが、『エドウィン・ドルードの謎』の最大の楽しみでもある。
世界文学全集〈29〉ディケンズ  エドウィン・ドルードの謎 (1977年)世界文学全集〈29〉ディケンズ エドウィン・ドルードの謎 (1977年)
(1977/04)
ディケンズ

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画像がないので恐縮だが、右は『世界文学全集〈29〉ディケンズ エドウィン・ドルードの謎』で、こちらも現在中古品しか出回っていない。
実物をこの目で確認したわけではないのだが、『エドウィン・ドルードの謎』の他に、岩波文庫版の『ディケンズ短篇集』に収録されている短編、すなわち『ピクウィック・クラブ』に挿入された短編もいくつか収められているらしい。
創元推理文庫の『エドウィン・ドルードの謎』がなかなかの高値で売られているようなので、節約派にはこちらがお勧めだ。

未完の推理小説ということで、『エドウィン・ドルードの謎』が万人に受け入れられる作品でないことは明白だが、ディケンズに興味のある読者なら必ずや面白く読めることだろう。
いつの日か岩波文庫あたりで普及版が出版されることを期待したい。
「ディケンズの絶筆」を売りにすればそこそこの部数はさばけるのではないかと思うのは、出版業界の事情に疎い素人考えなのだろうか。
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